劇場公開日 2019年8月30日

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「永遠に見ていたいプラピとディカプの友情物語とタランティーノ監督の映画愛が爆発した前人未到の集大成」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5永遠に見ていたいプラピとディカプの友情物語とタランティーノ監督の映画愛が爆発した前人未到の集大成

2020年12月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

泣ける

楽しい

幸せ

ピークの過ぎた落ち目のテレビスターのリックダルトンと彼の専属スタントマンで親友のクリフブースの2人が変化していく1969年のハリウッドの時代の流れに翻弄されながらも成功を目指す姿とカルト集団、マンソンファミリーによるシャロンテート殺人事件を描いた、クエンティンタランティーノ監督の集大成ともいえる映画愛に満ちた作品。

レオナルドディカプリオとブラットピットの2大スター夢の共演と大きく宣伝されていた今作。
共に90年台から今日に至るまでハリウッドの最前線で活躍し続けていた2人は意外なことに本作が初共演。
ハリウッドスターへの道が切り開けず、酒に溺れては泣きじゃくる、情緒不安定なディカプリオ演じるリックを無償の優しさでサポートし続けるプラピ演じるクリフの関係性が後光が差すほど眩しく美しく輝いており、特に第92回アカデミー賞において助演男優賞を受賞したブラットピットの存在感が抜群であった。

俳優として燻り続ける日々に神経質になりつつあるリックと対照的に自分にかけられた妻殺しの嫌疑や過去に映画製作の現場で他出演者と起こしたいざこざにより、製作関係者から煙たがられている現状をあっさりと仕方ないで片付け、リック専属のスタントマン兼ドライバー兼雑用係の生活も意外に悪くないと言わんばかりに自分らしさを失わない飄々とした余裕綽綽のブラットピットの演技が最高に素晴らしく、鑑賞中の感想の8割は「プラピ最高」だったと言っても過言ではなかった笑。
ヒッピーの少女に誘われ、かつて映画撮影所だったスパーン牧場を訪れた件で、明らかに雰囲気のおかしいヒッピーの少年少女の集まりにズカズカと踏み込んでいく度胸もさることながら、突如掌返しのように敵意を剥き出しにしてきた彼らを難なくかわし、悠々と帰っていく一連のシーンがめちゃくちゃカッコよくて、こんなに緊張感のある場面を全く動じずに切り抜けるキャラクター見たことなくてもはや感動してしまった笑。

一方でクリフの優しさにほぼおんぶに抱っこのリックはTVドラマの撮影に二日酔いで現場入り、終始咳や胆を吐き散らし、終いにはセリフを何度もすっぽかすというダメダメ振りを発揮するも、集中力を取り戻した本来の演技力で主演の若手俳優や監督らを魅了する見事な悪役を演じきって見せる活躍で、開始1時間半ほぼいいところ無しだったこともあってか観ててちょっと泣けてくる笑。
この時、スイッチを切り替える為にトレーラーで1人で自分自身を口汚く罵る件と共演者の少女マルベラに人生最高の演技と称されてちょっと泣くリックが情けないと共に応援したくなる愛されキャラだなと感じた笑。
それを順風満帆な役者人生を送ってきたように思えるディカプリオが演じる矛盾と新鮮さも面白いと感じた。
あとトレーラー内で鏡の中に映った自分を罵るシーンで鏡の中のリックがしっかりとカメラを見据えているのがうまいなと思った。

瀬戸際の日々を送るリックとクリフと対照的に世界的な成功を収め、華やかな日々を送る映画監督ロマンポランスキーの妻、女優のシャロンテート演じるマーゴットロビーがもう1人のメインキャストである。
ハリウッドのセレブたちに囲まれながら毎日パーティーに明け暮れ、 自分はこの映画に出演しているんだと唐突に言い出し、映画館に無料で入れてもらうという鋼のメンタルを持つ彼女の存在はまさに当時のハリウッドの栄光を象徴する華やかで美しい姿だった。

今作実際の1969年のハリウッドを再現したいというタランティーノ監督の強いこだわりから人々や街並みはおろか、実在した映画作品やハリウッドスターたちが至る所に登場する。
その全てが鑑賞者側が知っている体で話が進んでいく為、タランティーノ作品初心者及び50〜60年台の作品に詳しくない人(自分笑)にはあまり優しくない内容になっているかもしれない。
そしてそれはこの物語の大前提となっている1969年8月9日のシャロンテート殺人事件にもあてはまり、その事実を知っているかどうかで全体の構成や演出、さらにはラスト13分がその人にとってどう映るのか全く異なる点が非常に面白く、映画的な面白さを生み出していると感じた。

自分は初見時のラストはLSDをキメてラリったブラピが最高最高最高の後に不審者撃退の選択肢に火炎放射器を持ってくるディカプリオのイカれ具合に最高最高最高最高&鳴りを潜めていたタラ印のバイオレンス描写にキターーーーーーーーとなってしまい細部をあまり考えていなかったが、史実を理解してあのラストを見るとなんてご都合主義の改変だと思うと同時にこれが映画ならではの力技による奇跡だと感じたし、タイトルにも繋がる素晴らしい演出と感じ、鳥肌が止まらなかった。
タランティーノ監督にしては珍しい(ジャンゴ以来?)ハッピーエンドで、正直タラ節全開のバイオレンス映画を期待していた自分が恥ずかしくなるくらい暖かくて夢のあるラストだなと感じた笑。

あと最後に今作ですごい好きなのが至る所でリックたちがタバコを吸っているのだが、そのギリギリまで吸うケチ臭さやタバコが焼ける時の音がすごく良くて(非喫煙者だが笑)、IMAXで観たことによる1番良かった点が大画面でタバコをみみっちく吸うレオナルドディカプリオが観れた点だと思う!笑

2019年08月31日(土)1回目@TOHO日比谷IMAX
2020年12月09日(水)2回目@U-NEXT

オレ