劇場公開日 2018年10月20日

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「絶望と希望と」世界で一番ゴッホを描いた男 ピンクマティーニさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0絶望と希望と

2024年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

見たいと思い続けて5年、ようやく鑑賞。
素晴らしかった。

原題は「中国のゴッホ」。
名画の模写を大量生産し世界中に輸出している中国の村があることも知らなかったし、こうやって中国の人々が日々の厳しい暮らしに耐えていることも知らなかった。

主人公をアムステルダムに招待してくれた店主は、善意の人なのだけれど、自分の作品が卸値の8倍9倍もの値段で売られていることを知って主人公は愕然とする。20年、結果的に店主は彼らの労働を搾取し、彼らはオランダ人の豊かな生活を支えてきたのだ。なんともやるせない脱力感と無力感。店主への感謝と相反する恨めしい複雑な気持ち。

東西の経済格差。情報の格差。世間の常識や知識量の格差。
主人公は小学校しか出ていない出稼ぎの画工だ。もっと早く知っていたら、値上げ交渉もしたでしょう。

一方で、市井に生きる中国の人々の人間味あふれるやりとりに心があたたまった。
日本人の人間関係は遠慮がちだけど、人と人の距離が近い。

また、本物を知らないままコピー作品を作り続けてきた主人公が、搾取する資本主義システムから逃れられない身でありつつも、自分のオリジナリティ作品の制作に目覚める過程に、一縷の希望を見出した。

ピンクマティーニ