劇場公開日 2018年11月23日

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「スーパースター🎸✨」エリック・クラプトン 12小節の人生 nさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5スーパースター🎸✨

nさん
2019年1月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

 クラプトンの視点から、自身の内面から、絵描かれているサイレント映画の様な、私的で詩的なドキュメンタリー映画だった。
 生みの母親の非常さの理解には苦しむが、
自身の選択した人生と、自身が得た、新たな家族を死守する事に必死だった事は想像に難くない。
 当時の音楽状況を交えながら、名声を得ていく過程で、彩り成される、名だたる超ビックスター陣の映像と同時に、その方々が
目標でもあり、身近なライバルでもあったのかと思うと、その心境がいかばかりかなのか、と思った。
 大枚と酒やドラッグ、車や女、繊細さと大胆さ、才能と生い立ち、大きな振り幅の中で
スーパースターが、良くも悪しくも
スーパースター然と、
煌めいていられた時代。
 曲をフルサイズで聞けないジレンマがややあるのものの、それも今のクラプトン自身かその曲に対する思い入れに対しての長さ、なのかもとも後で思った。が、後半位で、生まれたての‘’レイラ‘’のイントロを聞けた時は、得した気分だった。
 世代が下なので、デビュー後の狂乱が画面のこちら側に、常にあった事を、想像するしかなかったが、クラプトンが見た世界をまんま絵描かれていのだと思う。同世代〜上の世代のファンには特に、それ以外のファンにも釘付けのドキュメントだと思う。
 コナーくんの可愛さ、愛くるしさ、またその存在の大きさ。おもちゃのギターをかかえる姿が印象的だった。
 ドラッグで命を落とすミュージシャンがいる中、生きながらえたのは、皮肉にも丈夫な身体で母親が産んでくれた事、人が生きていく上で最低限必要な、きれい過ぎないという意味での汚さや、強さ、その時々にクラプトンを支える、女性との恵まれた出会い、もあったと思うが、それよりも、離れる事が無く、深く音楽を愛していた事と、絶望の中にも一縷の望みを、他でもない音楽に見い出せたから、ではないのだろうか。
 きっと命の長さは神や音楽の神様が決めるところなのだろうと思うけれど。
 よく50年代位のハリウッドのスーパースター女優を「天使でもあり、悪魔でもないとなれない。」と言うのを聞いたが、大御所のミュージシャンもまた然り、なのではと思う。
 ただでは与えられないだろう大きな才能と、人生の苦悩を共に与えられて生まれた、正真正銘の世界的なスーパースターの
一人、なんだと、改めて感じた一時だった。

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