劇場公開日 2018年9月8日

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「軍事政権の恐ろしさを描いた傑作」1987、ある闘いの真実 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0軍事政権の恐ろしさを描いた傑作

2018年9月24日
PCから投稿

31年前、全 斗煥(チョン・ドゥファン)時代の韓国。
軍事政権であり、大統領の威を借りた警察・公安は「反共」の名の下、北朝鮮からのスパイを探すために、強引かつ無法な捜査を行っており、理不尽な暴力、冤罪、誤認逮捕と、拷問がまかり通っていた。

あるとき無実の大学生が、警察に拷問の果てに殺されたが、証拠隠滅のため警察は無理矢理火葬にしようと動く。
法律を守って親に会わせ、解剖してからしか火葬を認めない、と頑として譲らない検事部長を皮切りに、新聞記者、刑務所看守、大学生など、様々な人々の怒りと真実を求める気持ちが連なっていき……

独裁、汚職、軍事暴走、隠蔽にまみれた全 斗煥政権を代表する事件のひとつで、韓国の民主化運動をより激しいものにした。

と、実際にあった事件をベースにしたフィクション。

看守の姪だけは架空のキャラクターらしいですが、それ以外はほぼ実在の人物をそのまま当てはめたとのこと。
(※看守はモデルになった人はいるが、複数の人間たちの行動を一人に集約させているらしいです)

一般市民の怒りが、膨れ上がっていく過程を丁寧に描いていました。
観ていて興奮が高まっていく、実に濃厚な映画です。

1980年の光州事件を題材にした「タクシー運転手 約束は海を越えて』と同じく、1987年の全 斗煥体制がひっくり返って民主的直接選挙に変わる直前。
あの時代の韓国を批判し、歴史を見直そうという動きには感心しました。
まだまだこの時代、金の鉱脈がごとく、掘ればいくらでも証言を元にした実話系ドラマが作れそうですね。

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コージィ日本犬