劇場公開日 2018年9月8日

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「自由を求める闘いが強く胸を打つ」1987、ある闘いの真実 とえさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0自由を求める闘いが強く胸を打つ

2018年9月10日
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鑑賞方法:映画館

人間の恐ろしさに泣き、真実を追い求める人々の勇気に感動して泣き、結局、泣きっぱなしの映画だった

1987年に韓国で起きた民主化運動について、ある学生の死をきっかけに、自由を求めて水面下で動きはじめた人々を中心に描く

当時の韓国政権は「打倒!共産主義」をスローガンに警察の明らかに行きすぎた赤狩りにも目をつぶっていた

その結局、対北の部署は「何をやっても許される」ならず者集団へと変化していく

彼らは本来なら「打倒!共産主義」のはずなのに、やっていることは、まるで北朝鮮幹部の虐殺と同じという、ミイラ取りがミイラになったような集団だった

キム・ユンソク演じる所長も最初からおかしな人間ではなかったはずだ

彼個人の北朝鮮に対する思いと、その思いを利用する国から与えられた権力によって、歪んだ愛国心の塊になってしまったのだろう

そんな彼らを観ていると、
「真の愛国心」について考えさせられる

たとえ、その行いが間違っていたとしても、大統領府のお気に召すように行動し、その考えを他人に押し付けるのが、本当の愛国心なのだろうか

それよりも、国をより住みやすい国にするために意見を言い、反対意見があれば議論し、国や国民の明るい未来のために貢献するのが、本当の愛国心だろう

この映画でいえば「愛国心」という大義名分の元、言論統制をする警察は本当の愛国心からは程遠く、拷問して殺された学生の真相を暴くために「真実の伝書鳩」をしていた人たちこそ、本当の愛国者だと思った

そんな真実を追い求める人々が、負け試合と分かっていても、その火の中に飛び込んでいく姿は、とても力強く勇敢で、涙なしでは観られなかった

彼らは何も特別なことをしていない

検事は法に則って事件の捜査をし、記者は真実を報道し、刑務官は受刑者の秘密を守り、牧師は嘘をつかず真実を語っただけだ

それぞれが、自分の良心に従って当たり前の行動をしただけなのだ

しかし、彼らが生きていた時代は、そんな当たり前のことが許されず、とても勇気のいることだったのだ

その一人一人の行動が、周りの人々を動かし、国をも動かしていく

自分の良心に従って、当たり前の行動をすることが、周りの人を動かす
これが、真実の物語だからこそ、その重みをズシリと感じる映画だった

とえ