劇場公開日 2019年3月22日

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「やはりそこにあるのは"怒り"だ。」ブラック・クランズマン ミッチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0やはりそこにあるのは"怒り"だ。

2019年5月17日
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グリーンブックを観てからずっと観たかったこの映画。グリーンブックとは正に双璧をなす映画だ。表と裏ではない。表面と深層と言うべきだろう。勿論表面とはグリーンブック、深層とはこの映画の事だ。

どちらが良い悪いの問題では無いし、どちらも良い映画だった。ただ同じ黒人差別を扱った映画とするして私の評価基準の一つである、見終わった後も記憶に残り続ける映画、でひとまず判断するならば断然こちらだ。

黒人、ユダヤ人を差別する(一部の)白人達。
それに対抗する黒人の活動。
ユダヤ人であることを少し隠し気味な仲間の警官。
それぞれの思想や行動が映像と共に心に刺さる。

しかしなぜ一部の白人達はあれだけ黒人を差別するのか理解に苦しむが、その根底にあるのは不安と恐怖ではないのか。元はアフリカから広がっていった人類。広がっていった人達は、アフリカから勇気を持って出ていったと見るか、アフリカから追い出されたと見るか。
アメリカ人だって元はヨーロッパから逃げたり追われたりなど、ヨーロッパに居場所が無かった人達が移ったんだから差別される側の気持ちは分かるはず。

さてレビューの本筋から逸れてしまったが、この映画としてのストーリーテリングも非常に優れていて、ドキドキハラハラしながら胸のすくようなラストに繋がる。

ただクレジット前の映像集は必要無かったのではないか。あれを入れてしまうと本編がボヤけてしまう気がする。それを監督自身分かってるかどうか知るすべは無いが、やはりそれを入れるのはやはり監督の差別問題に対するずっと変わらない"怒り"の気持ちであろう。

ミッチ