劇場公開日 2020年3月6日

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「我々も彼女と一緒にボロボロになっていくような映画だった」ジュディ 虹の彼方に JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5我々も彼女と一緒にボロボロになっていくような映画だった

2020年3月14日
PCから投稿

ストーリーとしての面白さに欠けるかもしれない…。
もしかしたら、なんの前情報もなしで観たらまた衝撃的だったのかも。

レニーがアカデミー賞撮るのは本当に必然だったな、と感じた。
もう序盤からそれが分かる演技でしたよ。タクシーの中とかね。
(ここで比較するのはナンセンスだけど、ホアキンもあれくらい自然に演技してほしかったものです。)
ジュディガーランドが本当に憑依したような演じ方、彼女のことを理解しているからこそ出来る演技というような気がして、観ていて本当に心が震えた。レニーが演じてくれて本当によかった。ブリジットジョーンズ演じてた人とは思えんから、本当に女優ってすごいよね。レニーの人生ともだぶって見えるから余計に感情移入しちゃうね。メリルストリープら大御所に匹敵するような演技力だと勝手におもっています。

オーバーザレインボーがあんなにジュディの後の人生とマッチしてくるなんて皮肉だよね。とても深い深い曲と思える不思議です。
ステージの上の彼女も、そうでない彼女も全部含めて愛したくなるような映画でした。背負ってたものを考えると、本当に涙が止まらなくなるんです。
あと、LGBTへの貢献も素晴らしく、ゲイカップルのおうちを訪ねるシーン。ピアノを弾くシーンでは、本当に泣いてしまいましたね。たぶん嬉し泣きです。(実際にああいったことがあったのかは不明)

自身が幼少期から様々な大人に支配されながら生きてきたにも関わらず、それでもステージにあがり、マイノリティの人々にも希望を与えようとする姿はスターそのものでした。やはりどんな境遇でもステージに立ちたいという本能は彼女のスター性でしょう。

あのすごく嫌なガリガリ具合も、全然食事シーンがないのもずっと切なかった。それゆえケーキを緊張しながら食べるシーンは可愛くて仕方ないし、彼女のような思いをするような子供がもうこれ以上現れないよう望みました。(躁うつ病の人々にも優しく接することが出来ればと思う。)ステージに行けなくて衣装とか着させてもらってる姿は子供のようだった。
ステージで華やかに輝いているだけに、楽屋でのボロボロの姿は見ていてつらかった。身体的にも精神的にもボロボロで孤独だった。

ジュディがオスカー採れてなかっただけに、今回レニーがアカデミー賞採ったことは本当に素晴らしいことだった。
これからもジュディは人々に愛され続けるんだろうなあ。

あとあのマネージャーだれなん!?可愛すぎんか?
あの表情の演技なに、素晴らしいな。

JYARI