劇場公開日 2019年5月10日 PROMOTION

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轢き逃げ 最高の最悪な日 : 特集

2019年4月22日更新

【“アカデミー賞作品を見た直後”の映画好きへ、自信を持って推す骨太作】
水谷豊監督最新作は──1件の「ひき逃げ事件」が映し出す《人間の真の姿》
映画.comは、本作があなたのイメージを“最高の形”で裏切ると保証します

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アカデミー賞関連作を制覇し、“次の1本”を探している「良質な作品」を好む映画ファンに、ぜひ注目いただきたい逸品がある。日本を代表する名優、水谷豊の監督第2作「轢き逃げ 最高の最悪な日」(5月10日公開)だ。ひき逃げ事件を発端に、「加害者」と「被害者」が生まれ、それぞれの人生が交錯し、隠された思いが浮き彫りになっていく……重厚で骨太なテーマで見る者をうならせる“作家性”に加え、サスペンスフルな筆致と予想を裏切る展開で引き付ける“娯楽性”をも備えた本作。「本物」ゆえの、高い満足感を得られる。


【こんな映画を撮る“監督”だったとは──】衝撃・慟哭・深遠の人間ドラマ
イーストウッドやオスカー作品にこだわる、映画ファンにこそ見てほしい

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クリント・イーストウッド監督をはじめとする名匠が手がけた映画や、オスカー獲得作品などがまとう独特の「風格」。本作には、それらの傑作群に近しい「肌感覚」がある! ドローンを使ったダイナミックなファーストカットから一気に観客の心をつかみ、ひき逃げを起こしてしまった主人公と親友の葛藤と緊迫、事件が思わぬ方向に転がり始める急展開と畳みかけ、深遠なドラマできっちりと締める。

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「ひき逃げ」の暗くて悲しい映画? いや、全く違う! これは、“映画ファンのため”に用意された日本映画──

“メイン館”が、コアな映画好きに濃厚な作品を発信し続ける“聖地”ユーロスペースである点も、映画ファンへの強いメッセージが込められている。そう、目の肥えた映画ファンたちを満足させる物語・演出・演技――予想以上のクオリティに、圧倒されるはずだ。


【予告編】良質作を探しているならこの1本──「ひき逃げ」は“はじまり”にすぎなかった……

【直撃取材】監督・水谷豊の2作目は──“なぜ「ひき逃げ」なのか?”
気鋭の俳優たちを交え、映画人生50余年の“到達点”に迫る

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水谷監督が次に選んだテーマは、「ひき逃げ」だった。元々はプロデューサーの「サスペンスを見たい」という提案から始まったというが、自ら脚本も手掛け、事件があらわにする人間の業と本性を描き切った。監督として、脚本家として、俳優として――どのようにしてこの“高み”まで、作品を引き上げたのか? オーディションで見出した気鋭俳優、中山麻聖と石田法嗣を交え、裏の裏まで徹底的に語ってもらった。(聞き手:松崎健夫 文:編集部)

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クリント・イーストウッドに通じる《役者選び》

本作は、結婚式を数日後に控える青年・秀一(中山)が運転する車に、親友の輝(石田)が乗り込む場面から始まる。結婚式の打ち合わせに遅れてしまい焦る2人は、抜け道を通ろうとした矢先、ひき逃げを起こしてしまう……。冒頭から結末まで物語を引っ張る映画の“顔”を選ぶにあたり、水谷監督は「(主演2人の)オーディションに関しては、最初は僕も立ち会おうと思ったのですが、色々と考えてやめたんです」と舞台裏を明かす。そこには、役者と監督の両方を経験してきた水谷監督ならではの“感覚”があったという。「(自分が)役者をやっていると、役者の気持ちがよくわかる。違う情が動いたら嫌だなと思いまして、ある程度まで絞られたところで決めました」(水谷監督)。

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オーディション時にもし目の前に水谷がいたら、候補者たちは委縮してしまっていたことだろう。本来のポテンシャルを見抜くための、“あえて”の行動だったのではないか。「何か感覚的に、(心を)動かすものがあったんでしょうね。この2人には」と中山と石田に暖かなまなざしを向けた水谷監督は、「どうも、クリント・イーストウッドも(候補者と)会わないらしいですね。そのくらいは真似させてもらってもいいだろうと思ってやらせていただきました」と快活に笑い、場を和ませる。


これまでの映画人生に裏打ちされた、役者に寄り添う《演出》

演出法、演技指導においても、“水谷組”では監督自身の俳優経験をフルに使ったメソッドが導入されたという。中山は「水谷さんは、(自分の出演シーンを)一度演じてくださる。まばたきの回数や、鼻をすする所作も細かい計算の中で演出を付けていただきました。見せてくださっているからこそのプレッシャーがあるんですが(笑)」と大先輩から直に“稽古”を付けられていく中で、役を構築していったという。

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一方の石田は、「現場に入ったら監督が『こういう風にやれば大丈夫だから』と実演してくださって、『助かる……』となりました(笑)」とあっけらかんと笑うが、それまでには巨大な重圧にさいなまれたそうだ。「今回、(プレッシャーで)水しか飲めなくて、体重が3キロくらい落ちたんですよ。一回目の“本読み”の時に役を固めていったんですが、結構違っていて立ち直れないくらい落ち込んでしまって……。そのときに、監督が『あと2・3回あるから大丈夫』と言ってくださって。やっと3回目に『光が見えた』とおっしゃっていただけたときは、ものすごくうれしかったですね」。

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中山と石田の話に熱心に耳を傾けていた水谷監督は、「2人には言ったと思うんだけど、まず真似をして、心が動いたらそこからは自分のものになる。自分の“何か”が入ってくる、それを2人にはやってほしかったんです」と演出意図を明かす。


映画人生“全て”が凝縮された、《映画ファン》に向けた一作

自身のこれまでを振り返り、「十代・二十代のころはアメリカンニューシネマにすごく引き付けられた。ヨーロッパの映画もそう。映画館に行くと、そこには必ず何か“世界”があった」と語った水谷監督。その口ぶりからは、俳優や監督以前に、映画ファンであることがひしひしと伝わってくる。「自分がどれだけ心を動かされて、いい思いをしていい世界を経験できていたのか。それは、映画音楽とともに僕にはものすごく大きなことなんです。今、気づいたら作る側に回っていて、『自分だったらこうする』と思っていたことをやっていますね」。映画好きを出発点とする水谷監督の、大いなる映画愛が詰まった本作。何よりも、「映画ファンへと向けた」一作であることは疑いようがない。

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本人は「自分で書いたことで、脚本家にいちいち『ここを直したいんですが……』と言わなくてよかった(笑)」と冗談めかして語るが、それは裏返せば、自ら脚本を執筆することで、描きたい世界をとことん突き止めたということ。水谷監督が、いま「伝えたい」と信じるテーマ、「面白い」と思うストーリー……映画にかける“全て”が、凝縮されているはずだ。
 
 水谷監督は、自らの“味”をこう語る。「監督や脚本家、共演者など、『あの人と出会えたからこうなっているんだ』、というのは、後からわかること。何かをやるときには、いろんなことに追い詰められた状態になるわけです。その時に、その人が1番影響されてきた、持っているものが自分でも意識しないうちに出てくる」――つまり、これまでの映画人生全てを武器に、この作品を生み出したのだ。

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「同じストーリーでも、音楽のアレンジのようなものでサスペンスにもコメディにもできる。“人間”を表現するときにどうしたらいいのか……そういったなかで、サスペンスに相応しいものを考えたときに、このストーリーが出てきたんです」と監督自らが語る、紛うことなき「真正サスペンス」。
 
 俳優・監督・映画ファン――水谷の66年分の人生が形となった本作は、映画ファン同士ならわかる「共通言語」の宝庫。ぜひとも、劇場でその“濃度”を体感していただきたい。

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