劇場公開日 2019年5月3日

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「Gus Van Sant」ドント・ウォーリー Editing Tell Usさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0Gus Van Sant

2019年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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ガス・ヴァン・サント監督の脚本と演出が光る最高の一本。
彼の作品といえば、一番の有名作は、”Good Will Hunting"(1997)です。この作品は、日本でも超有名で多くの人が目にした作品ではないでしょうか。2人の関係に涙する、未来に残る作品の一つです。そのガス・ヴァン・サント監督が手掛ける、2018年の最新作。主人公となる、実在の人物カートゥーニストのジョン・キャラハンが今回の題材です。予告編を観てもわかるように、ジョンは車椅子生活を余儀なくされたカートゥーニスト。彼が描くカートゥーンには賛否両論があり、そのストレートで辛辣なテーマは、物議をかもすものばかりです。

この作品に驚かされたのは、ジョンのキャラクターの描き方。ジョンは車いすに乗って生活していますが、そこへの経緯や、彼のほかの問題点はまだまだたくさんあります。一見、バイオグラフィーを読んだだけでは、散らばった特徴だと思いますが、この映画を観ると、彼が生まれて、幼少期を過ごしてから、彼が描くカートゥーンまでのすべてがつながっていることに気づきます。また、その描き方も単純に時間軸に沿っていくのではなく、むしろ、時間軸とは逆方向に彼の生い立ちや、カートゥーンに描かれた内容が解き明かされていきます。その順番も、時間軸というよりも、キャラクターアークやストーリーに沿っているので、少しずつ明らかになっていく彼のキャラクターに感情移入できるようになっています。特に、彼の親の話が出てくると悪露は、彼の人生の礎になっている部分で、とても深くますぐに描かれています。

そして、技術的な面をいうと、編集もかなり、トリッキーでした。先ほど述べたように、時間軸に沿ってではなく、彼の感情でストーリーが動いていくのは、編集の力が大きく影響する部分です。アルコール中毒のしみなーで自分のストーリーを語る部分で、動くストーリーは、導入はとてもインパクトがあり、テンションを高めますが、そのストーリーに入っていく流れは。とてもスムーズ。それは、セミナーでの彼の感情が、過去のストーリーの当時の彼の感情を示唆するように、2つのシーンの橋渡しを見事に果たしています。
また、彼のだめ石友いうような180ラインのクロスの仕方は面白い。一目見ただけで感情の移動がわかるのはすごい。ガス・ヴァン・サント監督がやりたいことは、そこが中心だということもよくわかります。

ホアキン・フェニックスもかなり来てますね。強いキャラクターに負けないような、強い演技は今後も見ものです。

Editing Tell Us