劇場公開日 2019年2月1日

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「まいった。ひとつも面白くない」メリー・ポピンズ リターンズ うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0まいった。ひとつも面白くない

2024年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

きっとこの映画は私のような擦れた大人には刺さらない作品なのだろう。近ごろエミリー・ブラントの活躍が凄すぎて、興味津々だったのだが、『メリーポピンズ』自体は未見のまま作品世界をよく理解しないまま見にいったのが凶と出たようだ。

例えば外国人には藤子・F・不二雄の世界観は理解できないかもしれない。妙なモンスターが少年と同居して、日常が過ぎていくお話しなんて。
私のお友達にもミュージカルが理解できない人がいるが、突然歌い踊り出すことに理由なんてない。楽しければそれでいいのだ。

メリーはよく解らない存在。ナニーと言って、欧米の上流階級には、子供のしつけ教育係が住込みでいたようで、シッターとも、ヘルパーとも違う。で、親は安心して仕事や社交界のお付き合いにうつつを抜かすという運びだ。スカーレット・ヨハンソン主演の『私がクマにキレた理由』の原題は『The Nanny Diaries』だった。
確かに、スカジョが突然傘をさして空から降りてくるシーンがあったり、よく理解できない展開があったが、あれは『メリーポピンズ』の引用だったのね。大学を卒業したものの就職が決まらず、現実逃避の手段としてセレブの子供の世話係という職を選んだ彼女の悲哀を綴る物語だった。つまり、現実に向き合って生きていれば『メリーポピンズ』のような生き方は絶対にできない。でも、子供たちの心をわしづかみにして去っていくのがお約束。相変わらず、よく分からない存在としてこの映画でも不思議な能力を披露している。

映画自体を見ていなくても、様々なシーンで刷り込まれている。聞いたことのある音楽だったり、見たことのあるシチュエーションは全部この映画の影響だったのだ。次々と新しいキャラクターが生まれているディズニーの映画も、『ダンボ』や『ピノキオ』といった捨てがたいキャラクターがいて、うまく現代によみがえらせて、次の50年を創っていきたい精神が見て取れる。『メリーポピンズ』は、次の50年を生きてはいけなかったようだ。

うそつきかもめ