劇場公開日 2018年12月7日

「カルトなオカルト映画?いや、エンターテイメント作品!!」来る 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カルトなオカルト映画?いや、エンターテイメント作品!!

2019年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

『億男』に続き、新元号に移り変わる節目に
【平成映画の顔・川村元気作品を観よう企画第2弾!】

わたしは今の今まで「クトゥルフ神話」というものを
毛嫌いして遠巻きにみていました
いわゆる「中二病」クサいと…
でもなにかと物語の下敷きになってたりするので
後学のために基本だけでもと思い簡単な解説書を読んでみたりしました。

記憶に新しい『クワイエットプレイス』はまさに
クトゥルフ案件の典型!

本作『来る』は〈日本版エクソシスト〉と位置付けてもよい作風だと思いますが
やはりクトゥルフ要素が強い作品だと思いました。

【実体】のない「心霊、悪霊」と
【実態】が分からない「なにか」とは
根本的に次元が違うのがクトゥルフなんですよね。

確かにそれは存在している。  メイジョウ
もしその、クトゥルフのいう所の〈名状しがたき者〉の姿を見ようものなら
〈正気を保てず発狂して死を迎える〉のだそうな…

さて、本作『来る』では
極力、恐怖の対象そのものを見せるのではなく
そこの〈空気感〉および恐れる人物たちの〈リアクション〉で
恐怖を表現しているところが斬新かつ大胆な演出でした。

そして、その可視化できない恐怖が人間たちに伝染し、拡大して
次第に人間だれしもが抱えている闇の部分を浮き彫りにし
恐怖の対象が可視化できる《人間そのもの》にすり変わっていったのも見事でした。

本作『来る』はホラー構造を保ちつつ、わたしが近年視聴してきた
いろいろな作品のエッセンスが散在しているな、と見てとりました。

「平成最後のエンターテインメント映画はこれだ!!」とばかりに
川村元気プロデューサーの《したり顔》が目に浮かびました(笑)

追記:今年一番輝いた女優さん、川栄李奈さんと並び、黒木 華さん。
   おふたりとも、故・大杉蓮さん、樹木希林さんと
   最期に共演なさり、さぞ女優として貴重な一年であったことでしょう。

2018/12/13 劇場にて鑑賞
ユナイテッドシネマグループの会員制サイトから転載

野々原 ポコタ