劇場公開日 2018年12月7日

「狡猾で手強いぼぎわん(悪魔みたいな演出)」来る うにたん♪さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0狡猾で手強いぼぎわん(悪魔みたいな演出)

2019年7月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

田原(妻夫木聡)の因果が回って崩壊していく様はぼぎわん抜きでも、離婚する可能性高いと思ってしまう。
ウソのイクメン気取りで他人事のように育児ブログを更新し続ける姿は妻(黒木華)が呆れても仕方ない。
そりゃ、他に乗り換えられるだろう。
1時間掛けて、田原が死ぬ過程と人間関係の狂いを説明される序盤はイラつくし、ぼぎわんの影響力が凄まじく、容易に人が狂っていく様は気持ちが悪い。
田原はパーフェクトな父親では無かったが、妻の家庭環境も大概でその影響も目立つ状況に悲しくなる。

無惨な結果の田原家に繋がった比嘉姉妹はいいキャラ立ちをしており、後半ぼぎわんとの対決に期待感が高まる。

死の匂いに惹かれる子どもと生に惹かれる怪物、誰もが1度くらいは覚えのあるネガティブな感覚に囚われる件はエグい。

そして比嘉琴子(姉)が儀式のために呼んだ仲間(霊能者)だが、沖縄のお婆達が交通事故でやられてしまった途端、別途で集まる仲間が異常を察知して命懸けの覚悟になるのはオーバーではあるが、ちょっとカッコ良かった。
しかし公権力まで利用するユタの力は計り知れない。
霊能者逢坂(柴田理恵)は当て馬かと思ったがちゃんと出番があって良かった(笑)

霊能者以外の人々がこぞって心が弱く田原夫婦、友人津田、野崎……ことごとくぼぎわんに取り込まれていく。

あまりにも凶悪なぼぎわんではあるが野崎の一言で正体がうっすらと見えると、ただお祓いするだけで良いのか?と考えてしまう。

大昔に児童虐待どころでは無い間引きを行っていた事と今現代も変わらず様々な命が虐待で失われる事態は経済的発展を遂げても何一つ解決していない事を悲しく思う。
これはぼぎわんが暴れまくってもしゃあないと思う。

それにしてもぼぎわん自体のちからがあまりにも凄い。
建物ぶっ壊すレベルなのに、人間1人1人の心の裏側のキズを見逃さず、背中の咬みキズなど関係なく身体に侵入されたであろう描写は、過去にあった邦画ホラーと比べるとインパクトがある。

この凶悪、強大なぼぎわんを祓う為の儀式に様々な宗教を動員するのは、やり方を選ばない独特な手法なのか?どれかが効いたらそれで良しと言うことか?

ただし観るがわとしての怖さと言う点ではそれほどではない。登場人物のひ弱さに不安感を募らせて見続けてしまう作品。
誰にだって失くしたくないものがあるから、弱点も…。
子流しや流産、堕胎とネガティブなテーマが全編にあるため、ナチュラルにドロドロした感じがあり、その分観る人を選ぶところもあるかも知れない。

ラストはどうなったかが曖昧で次回作あるなら観てみたい。

個人的には黒木華が喫煙しているシーンに「吸うんだ?」と驚いた。色んな役がこなせるのはやはり凄いと言うことか?
勝手なイメージを黒木華に持っていた事を確認できた。

うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)