劇場公開日 2019年2月15日

「良質なB級映画」トラさん 僕が猫になったワケ パンドラさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良質なB級映画

2019年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ストーリーのオチがほぼわかっていて、その過程を楽しむタイプの映画です。日常のシーンが主で、ほぼ舞台劇。

板羽先生の原作がとても良かったので、映画でどう表現するのだろうと不安な気持ちもありましたが、猫姿は案外すんなり受け入れられました(笑) 猫らしさと人間らしさのバランスが上手くとれていて、変にCGでリアルにこだわるよりも良かったかな。一見するとアイドルが着ぐるみを着たふざけた映画と敬遠されてしまいがちなのが惜しいですが。

前半はクスッと笑えるところあり、要潤さんの盛大な無駄遣いあり(笑)。後半は多部未華子さんと平澤宏々路ちゃんの演技が光り、徐々に物語の中に引き込まれて自然と泣いてしまいました。淡々と進んでいく日常の中にも忘れられない瞬間があることをうまく表現されていると思います。

全体に泣かせようという押しつけがましさがないところに好感が持てました。不思議と悲しさはないので後味も良く、見終わった後はほっこりした前向きな気持ちになれました。北山さんの演技も自然な軽妙さで良かったと思います。個人的には、飯豊まりえさん演じる凛としたホワイテストも好きでした。ホワイテスト側の物語も気になりますね。

上映時間が短いですが、シンプルに伝えたいことがはっきりしているのでこれくらいでちょうど良いのかと。長時間だともっと手の込んだストーリーや演出を期待してしまうので…(笑)
超大作というわけではないので星4つに留めていますが、邦画B級映画ならではの少し雑なところも楽しめる方にはとてもオススメの作品です。

パンドラ