劇場公開日 2018年6月2日

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「イカ天から30年。リアルとフィクションの狭間を吹く風のごとき熱いコメディ」馬の骨 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5イカ天から30年。リアルとフィクションの狭間を吹く風のごとき熱いコメディ

2018年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

楽しい

「イカ天」が誕生して30年が経とうとしている。深夜にブラウン管TVの前で見守っていた自分にとっても思い出深いのだから、これに出演したことのあるバンドマンは一生涯忘れ得ぬ「誇り」でもあるはずだ。タイトルにもある「馬の骨」は本当にイカ天出場経験のあるバンドで、監督と主演を務める桐生コウジはここのボーカルを務めていたという。

北野映画で脇を固める彼の、ちょっと怖そうに見えて実は小心者で優しく一生懸命というキャラが面白く、ついつい応援してしまう。ある意味、これは過去に置き忘れた忘れ物を取り返しに行く物語であり、自分自身に決着をつける物語。そして彼のみならず、そこに元アイドル、今はシンガーソングライター志望の若きヒロインを配置することで、親子ほど歳の離れた彼らの二人三脚、いや運命共同体を成立させ、これがまたストーリーの香りを驚くほど引き立てる。泥臭く、かっこ悪くも、何か熱いものが残る一作である。

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牛津厚信