劇場公開日 2018年5月12日

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「タンジェリンの監督×子供」フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5タンジェリンの監督×子供

2019年10月28日
PCから投稿

あんなにもリアルな世界を生々しくも可笑しく描いたタンジェリンの監督が、子供を使って映画を撮るとこんなにファンタジックに見せかけることが出来るのか。
ただしそれは見せかけに過ぎなくて、嫌な影がちょいちょい姿を見せて…。大人には判るけど子供には理解できないその境界線が非常にうまく作られているなと思った。

ムーニーが一人お風呂に入るシーンとかね。子供が映っているシーンであんな嫌な見せ方するってすごいよね。

問題はラストシーン。オチを求めてしまっていた自分にとって、あれはどうなんだろうと思ってしまった。ただね…鑑賞後かんがえれば考えるほどあれでよかった気もするのね。あれって結局ムーニーの将来すら観客に考えさせていると思う。ムーニーは大人になったとき、きっとこの夏のことを思い出す。本当にたくさんの嫌なこともあったけど、それを塗り替えるくらいのマジックがあそこにはあったのかもね。見れなかった世界を見るってのは、人生経験上たいせつなことだしね。

この監督の凄さはさ、あまりにも"映画風じゃなく"描いているところだと思う。意識的なのかは不明だけど、起承転結とか、伏線とかわざとらしいストーリーとかが無くて、どっかの町の小さなニュースをずっと繋いでいる感じに見えるのね。でもそれが、大事な視点というか、ちゃんと現実ってことを観客に教えてくれてるんだよね。

JYARI