劇場公開日 2018年11月3日

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「やばい10年後」十年 Ten Years Japan kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5やばい10年後

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1.「PLAN75」 早川千絵監督
 75歳以上の高齢者に安楽死を奨励する国の制度。どことなく『ソイレント・グリーン』(1973)のような世界観。主人公と、妻の徘徊する母親の物語。暗いイメージの中にも命の尊厳を描こうとしていたが、もっと続きが見たくなる内容。

 ちなみにソイレント・グリーンは2022年の設定であり、今のコロナ禍による経済ダメージや社会不安をも予測したような世界観だ。75歳になるのが怖くなるのですが、自分としては「75で認知症になっていたら安楽死させてくれ」とメッセージを残しておきたいな・・・

2.「いたずら同盟」 木下雄介監督
 AIにより道徳教育が行われているIT特区の小学校。國村隼が世話している老馬の殺処分が決まったとき、生徒たちは・・・という物語。馬の件よりも、顔認証システムやら、逸脱した行動には額に取り付けられた器具によってメッセージと大音響の音楽が流れる仕組み。小学生のうちから管理されすぎるとどうなるのか?もう、大人になるまでロボットになってしまいそうな怖さがある。

3.「DATA」 津野愛監督
 母の生前のデータが入った「デジタル遺産カード」を手に入れ、杉咲花が亡き母の思い出の写真や、ひょっとしたら浮気して、自分の出生の秘密も知りたくなった。スマホを使っているためか、それほど未来感がないし、結局は父親の愛情を確かめるだけのストーリーだった。面白くない。

4.「その空気は見えない」 藤村明世監督
 原発による大気汚染から逃れるために地下世界に住むミズキたちの物語。ちょっとお姉さんのカエデから地上の話を聞き、太陽とは?雨とは?と好奇心旺盛になっていく。

 未来は地下生活!なんてのは結構あるSF作品をコンパクトにまとめていた。最初はダンゴ虫とかの虫が中心となっているため気持ち悪いが、知らない地上のことに興味を持つ初々しさが心地よい。ウォークマンのイヤホンを鼻に入れるシーンが好き♪

5.「美しい国」 石川慶監督
 広告代理店の太賀が地下にポスターを貼っている金髪の若者職人に色々指示をしている。星座を模したような柄に「11月から徴兵制が始まります」と書かれたポスター。しかし上司は古臭いからボツだとデザイナーに伝えるよう太賀に指示。木野花演ずるデザイナーのもとへと渋々うかがうのだが・・・

 反戦メッセージが強く伝わってくる作品。美しいポスターであっても、戦争になれば国民は大勢死んでいく。「落とさないでね、バトン」という言葉が印象的。最後はちょっと泣ける。

kossy