劇場公開日 2019年1月25日

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「抵抗に殉じた無名の人々」ナチス第三の男 くーにー62さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0抵抗に殉じた無名の人々

2019年2月6日
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鑑賞方法:映画館

ブラボー! よくぞ撮ったり。あの悪夢のような時代、美しいプラハの街に散った勇士たちやその支援者たちの魂に心からの賛同と哀悼を捧げたい。
原作「HHhH」を去年読んで、「暁の7人」を見直さないとなぁと思ってたら、知らん間に映画化されててびっくり。原作は小説ではなく、いかに創作的な要素を排除するかに腐心した、一風変わったノンフィクションなんだけど、そのこだわりがかなり忠実に映像化されているのではないか。
美術が素晴らしい。全部ロケだと思うけど、車輌も建物もよく残ってたもんだと感心する。虐殺シーンなど、記録映像の流用でお茶を濁す映画がよくあるけど、ここでは一切使っていないばかりか、そうした記録撮影をしているドイツ兵を登場させることで一層非道さが際立つという演出。
惜しむらくは全編英語なのと、おざなりな邦題。タイトルで損をしている例がまた増えた。原作本と同じでいいじゃないか。謎めいてて。実のところ、ハイドリヒ、ヒムラー、ヒトラーといった悪魔があの時代、ドイツに一度期に存在していたことが謎であり驚きなのであるが。

くーにー62