劇場公開日 2019年1月25日

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「嫌悪感を抱かせることに成功」ナチス第三の男 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0嫌悪感を抱かせることに成功

2019年1月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2014年に翻訳されて話題になった、ローラン・ビネの小説『HHhH プラハ、1942年』が原作。

ラインハルト・ハイドリヒの暗殺「エンスラポイド作戦」についての映画なんで、『暁の七人(Operation Daybreak)』や『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』などと基本的に大筋は一緒。
ただ、これまでの映画が、暗殺者ヤンとヨゼフ視点だったものが多いのだけれども。

本作は前半で「どうしてハイドリヒという怪物が生まれたのか」という過程を丹念に描いていて、もう完全にハイドリヒ目線。

突然に後半でヤンとヨゼフの目線に変わるんですね。
そしたら前半と後半で違う映画みたいになっちゃってて。
脚本家も監督も別人じゃないの?とさえ思うような。

で、全体を貫いて、そのちぐはぐな2つの線をつなぐ要素が、「旦那さん(ハイドリヒ)と一緒に普通の暮らしがしたい奥さんの視線」と、ナチスの存在なんですよ。
ハイドリヒが仕事に情熱的で、奥さん子供に対し真摯な姿を見せるたび、その仕事の内容は「ユダヤ人の虐殺」と「最終的決着(絶滅収容所)のプラン作り」=【ホロコースト】ぢゃねーかという。
そのため、困ったことに全然誰にも感情移入できないのですよ。
エンタメ性がないというか。
むしろ、「ハイドリヒかわいそう」みたいな余韻まで持たせちゃってるのはどうかと。

観た人間が嫌悪感を抱くほど、ナチスの非道を描くのが本作の目的ではあるだろうと感じたので、作りとしては間違ってないんだけど、「あ~いろいろ残酷だなぁ」と、深くため息をついてしまうのでした。

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コージィ日本犬