ラッキー(2017)のレビュー・感想・評価
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アメスピの似合う人生とは
平穏な内容ながら、観るのが30年早かったと思わせる作品。クロスワード以外に何か暇潰しの手段を用意しとかねば。
"孤独と一人は同じじゃない"というフレーズは、私的に山内マリコの作品タイトルとリンクした。
生きている今がラッキー
戦争、恋愛?、タバコ、ヨガ、友人、喧嘩と仲直り
日常の何にもない、平穏さが、生きる歓びだと気づかされる。
不機嫌な時、孤独な時、微笑んだ時
別人のようになる。シワのせいなのかな?
90歳、最期の主演作。本当にラッキーな人生かも?
10年後にまた観たいと思える作品です。
昨秋に亡くなった名優ハリー・ディーン・スタントンの最後の主演映画。全編にわたり撮りきれて良かったよね。
90歳のラッキー (ハリーも同年齢)の存在は、この街の風景のルーティーン。今日も1人でアパートで目を覚まし、町の一部としての生活を過ごします。個性的なこの老人の静かな日常と、町の人たちとのたわいもないやり取りが描かれています。80分ひと時も目を離さず、この個性的な老人の日常に釘付けになり、あっという間でした。誰にでも当たり前に訪れる人生最後のとき。ラッキーが自身の人生を受け入れる静かな抗議をする様は、誰しもが持つ孤独感を切ない潔さで表してくれます。
わかる気もする…
物語は、自分の死期を感じた老人の話。
主人公は日々の生活の中で悟りのようなものを感じ取っていくんだけど…。
すごく共感できる部分もあるんだけど、40~50代の現役世代はこの手の映画に影響されてはダメ!(笑)
まだまだ若いんだから、もっと無になってガムシャラに!
そんなエールとして受け止めた。
とても勝手な解釈だけど。
そうでないとやってらんね~よね💖
20年経ってもう一回観たら全然違う感想とは思った。
実生活に豊かさをもたらす映画はいい映画
これからの人生において、ときおり思い出すシーンやセリフに満ちた素敵な作品だった。
鑑賞後、マリアッチ聴きたさにメキシコ料理店に駆け込んだ。映画を反芻しながら、コロナでぼんやり心地よく酔った。
ハリー・ディーンの控えめな笑顔、そして周りがハリー・ディーンに向ける笑顔はとても素敵でした。
エイリアン1で猫を追って死亡する役で有名なハリー・ディーン・スタントンの遺作。
口が悪くて反抗心が衰えないじいさんラッキーは町の人から嫌われているわけではなくそれなりに繋がりを持って生活をしている。
そんなラッキーが自宅で倒れてしまい死の影を意識するようになる。その状態で町の人達と交わす会話は……。
ほんとに会話をしているだけ。劇的なことはなにも起こらない。
会話のテンポ/やりとりがめちゃくちゃ心地よいわけでもない。
人によっては退屈な作品かも。
でも長く生きている役、そして役者だからこそ伝わってくる言葉が随所にありました。特に終盤は名言がいくつも。
映画に限らず最近は大人の笑顔っていいな、とよく思います。
自分もしっかり笑える大人になるように生きたい、と。
本作でのハリー・ディーンの控えめな笑顔、そして周りがハリー・ディーンに向ける笑顔はとても素敵でした。
リクガメ
海街diaryのような感じでこういう淡々と日常が流れていく映画が好みなのですごく楽しめました。
残念なことに映画とは全く関係ないのですが後部座席で紙袋をガサゴソしてる人がいて気になって仕方ありませんでした。
マナーの悪い観客が混じってたらどんな素晴らしい映画も台無しなのでもっとマナー向上のためになんとかならないかなと思いました。
また改めて観賞しに行くかDVDでたらゆっくり鑑賞しようと思います。
これを観ることができてlucky!!
自分は大好きです。(50代後半)
ただし、何も起こらないよ。亀がいなくなるくらいかな。だから、年配者の方が評価しやすいのかもしれない。
自分にはマンガ「ぼのぼの」の実写版のような気がした。ずいぶん老齢で、ひとり暮らしを愛するところは、
子どもであるぼのぼのよりも、スナドリネコさんに近いけれど。(マンガ「ぼのぼの」を読んだことある人にしか伝わらないね)
なにも起こらないけれど、全編通して主人公を取り巻く環境に「悪意」はひとかけらもない。善意があふれているわけではなく、ただ普通なだけだが、このすばらしい映画を、すべての人が、自分が死ぬ十年前に観たらいいな、と思う。
登場人物全員のせりふが楽しい。中でも、退役海兵隊員の話、亀を、いやリクガメを飼っていたじいさん(デビッドリンチ!)の話、そしてパーティでの主人公の思わずのふるまい … すべてのシーンがココロに残る。
「無になって、その先は?」「微笑むのさ」この会話って、きっと監督は仏教好きなんだろうな。
そしてラストに近いイブのくだりでは年老いてなお成長する、人間讃歌。
観る人の心の不安をかきたてることで盛り上げる映画も多い中、これだけ何も起こさずに心を暖めてくれる映画はなかなかない。はじめて映画を観終わって「よしビール飲もう」と思った。
えー、ほめまくりましたが、本当になにも起きませんので、観て拍子抜けしませんように。昨年の「パターソン」に続く、大好きな何も起こらない映画になりました。万歳。
最後に。年老いた主人公(91歳!)が、部屋で毎日体操したり(現代だからヨガでしたね)、外を歩く際にひざをあげて歩く様子は、もはや高齢期に入った自分には他人事とは思えない。
老人の孤高の姿は、まさに「月に輝く男」と讃えたい
人は老いに不安を持つものだ。
だけど、この老人ラッキーは、孤独と一人暮らしは違う、と言う。
ああ、その通りだ、俺もそうだ、とその時は思った。でも、どうやら老人はそうではなかったようだ。不安を取り除くには他人と触れることが有効だと聞くが、まさしく不安に襲われた老人は、軽くハグをすることで不安を取り去ったように、自分には思えた。
そして、老人にとっての未来と言えば、死。遅かれやってくるであろうその時を迎えるにあたり、その覚悟を穏やかにさせてくれる退役海兵隊員の沖縄上陸戦のエピソードには、心震えた。
メキシコ人家族のパーティーで歌う姿にも感銘を受けた。老人は、日常のルーティンを守る頑固者であり、意見が合わない相手とは喧嘩も辞さない意地っ張りであるけれど、けして偏見を持った人間ではなかった。老人の歌声に微笑むメキシコ人の笑顔がそれを雄弁に物語っていた。
「nothig」の言葉の意味するものや、リクガメをめぐる一連の騒動を含め、全体に流れるメッセージは、まるで禅の世界のようであった。
映画のなかの台詞をおさらいしたくて、自分としては珍しくパンフレットを買った。そこで、ラッキー演じるハリー・ディーン・スタントン自身が沖縄戦を経験していると知った。つまりこの映画にはスタントンのもつ死生観が反映されているのだろう。おかげで今、この映画が胸にじわじわしみ込んできてたまらない。こんないい映画の上映館が少ないことが惜しまれてならない。
まるで生前葬
ラッキーがあまりに偏屈な頑固ジジイで、病気からの闘病、お涙頂戴系だったら嫌だなぁと思っていたのですが、ユーモラスも持ち合わせたちょっと変わったジジイと、その周りにいる優しい人達の映画でとても良かったです。
会話や音楽や画も好きでした。
海外での公開のタイミングと、彼が亡くなったタイミングがどうだったのかは分かりませんが、ハリー・ディーン・スタントンの遺作となった映画、というより、「遺作」として作られたような映画になっていたのは不思議な感覚でしたし、最後の最後、あの表情に泣かされました。
アメリカの砂漠で語られる仏教的世界観
おかしくて悲しくて あきれさせてくれて でもなぜか希望がある。
偏屈じいさんなんだけど、周囲は彼に優しい眼差しを向ける。
悲しくも優しい眼差しを向けるのは、カメラもそうだ。
だから観ている自分の眼差しも優しくなれる。
アメリカの砂漠で語られる仏教的世界観。砂漠という環境が無情感をうまく醸し出す。
ハリウッドの流行である多様性だのマイノリティだの me tooだの、バイオレンスだの社会正義だの麻薬だの、あるいは色恋だの、親子の相克だの、アメリカンドリームだの、ある意味画一的ステレオタイプの社会的主張のレベルを突き抜けてしまっていてむしろ好感が持てる。
巷間言われるようにジャームッシュの「パターソン」の偏屈お一人様ジイサン版。詩ではなくて思想、夫婦ではなく一人、何かあるのではなく何もない。ナッシング。
時間が太平洋戦争からまるで止まっている。その後の70年の記憶がないように。いったい彼の戦後とはなんだったのだろうか。それを敢えて描かない脚本・監督のセンスは素晴らしい。
描かないという引き算の映画。日本の伝統的絵画や懐石料理のような味わいがある。時間軸と遠近軸が薄い。時間が止まって空間が扁平化している。
この監督の次回作が楽しみだ。この人、アメリカ人には理解されづらいかも。
この作品を配給したアップリンクさん、グッドジョブです。
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