劇場公開日 2018年3月17日

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「上映時間90分のキルギス旅行映画!」馬を放つ MPさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0上映時間90分のキルギス旅行映画!

2018年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

幸せ

中央アジアの美しい国。かつてのシルクロードの経由地。ソビエト連邦の解体と共に独立したまだ若い共和国。キルギスについて、そんなことしか知らないであろう多くの日本人の目に、雪を頂いた天山山脈から続く緑の森を、強引に切り開いたのであろう灰色の高速道路と、道路の脇に並ぶ移動式住居ゲルとの不釣り合いが、まず奇妙に映るはず。だがやがて、それがキルギスの現実の一端を物語る風景であることが徐々に分かっていく。主人公の"ケンタウロス"は時の流れに伴い押し寄せてきた資本主義の影で、かつて遊牧民として馬と共存し暮らした同胞たちが、本来の誇りを忘れ去っていくことを心から憂えているのだ。これは、映画を介して見知らぬ国の文化と現実に触れ、そこから日本と日本人の今とを見比べることが出来る、上映時間90分の旅映画。"帰国後"の余韻はけっこう後を引く。

清藤秀人