劇場公開日 2018年3月10日

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「昭和47年の線引き」ニッポン国VS泉南石綿村 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5昭和47年の線引き

2022年5月4日
iPhoneアプリから投稿

裁判の争点は国家が介入して規制に踏み込まなかったことに過失が認められるか否かだと思われるが、この映画はそこに踏み込まない。科学的知見があっても行動が見送られている事象もある訳で、何から何まで公的権力が介入することに誰もが賛同するわけでは無いと思う。規制がなくとも抑制する人もいて、規制されないと行動を抑止しない人もいる。これはガス規制もコロナも同じ。どこで規制を求めるかは判断が難しい。
カメラはひたすら被害者を追う。このことが強烈なメッセージを帯びる。行政側の過失を論じていても救われない。目の前に過失なく被害を負った者がいる。対応する役人が問うべき相手ではない。塩崎大臣が頭を下げても、何をもって詫びているのか?と被害者と同じ不思議な気持ちになる。
責任はむしろ二の次で、優先すべきは救済である。救済されるべきか否かで判断すれば、早いはずである。

Kj