劇場公開日 2017年11月3日

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「斬新な油絵アニメ映画」ゴッホ 最期の手紙 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0斬新な油絵アニメ映画

2019年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 125名の画家がゴッホタッチで描いた62450枚にも及ぶ油絵を基に作られたアニメーション。ゴッホが弟テオに書いた手紙で「我々は自分たちの絵にしか語らせることはできないのだ」という言葉があったため、彼の絵に語らせるべきではないか?といった経緯で、前人未踏の大胆な手法でその人生を描いた映画なのです。

 ストーリーは、アルマンという青年が郵便配達人である父親からゴッホが弟テオに宛てた手紙を託され、自殺したとされるゴッホの死の真相を探るというもの。この際、ストーリーはどうでもよくなるくらい画面に釘付けとなってしまう。何しろ油絵が動き出すんですよ!回想部分はモノクロの水彩画になり、これもまた素敵なのです。

 ゴッホの人生については映画『炎の人ゴッホ』でしか知らなかったのですが、耳切りの部分はあっさり描き、自殺したとされる腹部の銃痕だとか、かなり検証されている感じのストーリー。有名な絵をもとに人物像も作り上げ、それぞれの証言が食い違ってるところもミステリーとして面白かった。

 生前には1枚の絵しか売れなかったというゴッホ。記憶に新しいのはバブル期に価格が高騰して、ゴッホというのは財テクのための画家だったのかと、誤った認識を持たされたことでしょうか。波乱に満ちた晩年や彼の内面については他の映画で描かれているので、この作品はこれで良しでしょう。

kossy