劇場公開日 2018年2月23日

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「ガーリーカルチャーのカリスマ、コッポラの分岐点になる作品」The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ MPさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ガーリーカルチャーのカリスマ、コッポラの分岐点になる作品

2018年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

同じく閉ざされた門の内側で生きる王妃の日常を屈託なく描いた代表作「マリー・アントワネット」とは似て非なるソフィア・コッポラ作品。決壊寸前の閉塞感が、傷つき、匿われた兵士が放つ雄の匂いをビリビリと感じ取り、小さな裂け目からやがて大量の欲望が放出されていく様は、女性独特の観察眼が鋭い刃となり、時にえげつないほど痛烈な密室エロチックサスペンスとして観客の前に突き付けられる。同時にこれは、南北戦争の影で行われた女たちによる犯罪ドラマでもある。遠く大砲の音を聞きながら、女性寄宿学校の中でも同じような行為が成されていく皮肉と怖さは、やはり、ガーリーカルチャーのカリスマと言われてきた監督ソフィア・コッポラにとって分岐点になる1作だと言わざるを得ない。

清藤秀人