劇場公開日 2018年3月10日

「マイ・フェイバリット・セッション」坂道のアポロン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5マイ・フェイバリット・セッション

2018年9月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

幸せ

人気コミックを基に、青春と恋と、音楽。
監督は、三木孝浩。
昨年の『先生!』などたまに微妙な作品もあるが、三木監督はコミック原作の青春/恋愛モノの名手。
公開時評判良く、王道の三木作品を期待していたが…、
確かに好編ではあるが、悪くはないといった所。

転校生の薫、不良の千太郎、その幼馴染みで優等生の律子。
ジャズで紡がれた3人の友情と恋。
…なのだが、思ってたより演奏シーンが少なくて肩透かし。
予告編の印象だと、知念、中川、小松、それに中村とディーンがジャズ・バンドを組み、ふんだんにセッションするのかと思ったら、そうではなかった。
序盤で、知念、中川、中村、ディーンが軽くセッションするだけ。
結局中村はその時一回きりで、ディーンも途中退場。
小松はセッションには加わらず。歌う予定がありながら結局歌わず。最後なんて、おいおい!
メインはもどかしい恋と友情劇。

薫は律子に心惹かれる。
律子は千太郎の事が好き。
千太郎は帰郷したお嬢様・百合香に一目惚れ。
百合香は千太郎が兄のように慕う淳一に想いを抱いている。
全員の想いが一方通行。
それ故、すれ違い、相手に自分の想いが届いてないと知り…。
恋愛模様は確かに切ない。
が、展開的にはあるある。
友情のひび割れ、事故、さらに言ってしまえばOPの時点である程度話は予想出来た。
話的には王道で悪くはないが平凡で、演奏シーンの少なさに物足りなさも感じたが、それでもやはりセッションが始まると胸躍る。

中盤、友情にひびが入った薫と千太郎。
学園祭で停電のトラブル。場繋ぎで薫がピアノを弾き始め、呼応するかのように千太郎もドラムを重ねる。
2人共、セッションがしたかった。
友情の回復と笑顔とセッションに胸がすく。
10ヶ月の猛訓練を重ねたというキャストによる生演奏は爽快で、欲を言えばもっともっと聴いていたかった。
若いメイン3人の瑞々しい好演。
中でも千太郎役の中川大志は佐世保弁も流暢で、役柄的にも最も旨味あり、存在感を発揮。
主人公の薫も複雑な家庭環境に置かれているが、千太郎の方が出生や生い立ちも含め、暗く悲しい。
やっと見つけた“マイ・フェイバリット・シングス”。
医者になるよう引き取られた親戚から重圧をかけられている薫。そんな彼が自分の意思で医者になると決意。
それまでの息の詰まる日々。学校にも家にも居場所が無い。
そんな時彼も見つけた“マイ・フェイバリット・シングス”。
心の拠り所を求める2人が出会って、ジャズと友情のセッションを重ねて…。
そんな彼らの友情を包み込む、古き良き昭和の風情残る長崎県佐世保のロケがノスタルジック。

話の展開予想出来るという事は、ラストも。
ありきたりだが、後味爽やか。
再び重ねるセッション。
切ない恋模様も、青春の日々も、友情も、重ね合わせたセッションも、一生もん。

近大
しろくろぱんださんのコメント
2020年9月6日

共感頂いてありがとうございます。
勘違いしてすみません。
改めて近大さんのフォロワーの多さにびっくりしています。
この坂道のアポロンは3人の真の仲の良さが好きです。そしてジャズのセッションが感動のピークですね。
また、舞台が長崎であるのもよかったポイントです。

しろくろぱんだ