劇場公開日 2017年11月23日

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「好ましさの集約」gifted ギフテッド 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0好ましさの集約

2020年7月11日
PCから投稿

人目をひきつける三大要素3BはBeauty、Beast、Babyである。
目的があってインターネットを開いたとしても、よけいなところへ飛ぶなら、たいてい、きれいなひと(Beauty)か子猫(Beast)かかわいい子供(Baby)にさそわれて──のことだ。バナー広告の基本は3Bである。

美醜は判断の導入だと思う。
ひとそれぞれ、好ましく感じる外見と苦手なそれがある。
すばらしいドラマだとしても、苦手な俳優なら、敬遠することもある。

なぜ俳優には見た目のきれいな人がなるのか──それを説明するまでもないのと同じことで、ひとびとの目に触れるものを、うつくしい人が演じることは、重要というより、条件のようなものだ。

映画、ワンダー/君は太陽は、人と違う外見にたいする博愛を説きながら、そのじつ、なぜ映画が絶大な支持を得たのかといえば、出てくる人々が全員うつくしい外見を持っていたから──に他ならない。Auggieさえ、かわいい造形にとどめており、Chbosky監督は、完全に意識的にきれいな人だけをキャスティングしていた。

ギフテッドな子供がいて、それがMckenna Graceで、叔父がクリスエヴァンスで、隻眼の猫フレッドを飼っている。配役で映画はすでにほぼ達成している。何を。シンパシーを寄せるにじゅうぶんな3Bを──である。

観衆が、すでに好ましい人たちに骨抜きになった状態なら、あとはエンドロールへ導いてやるだけでいい。
が、映画はドラマもしっかりしていた。

美と天才とアングロサクソンと隻眼の猫。
この星での優位性をいささかも感じさせずに、同情を集積し、叙情へ昇華する。みごとというほかない。

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津次郎