月と雷のレビュー・感想・評価
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普通の家庭の幸せとは何か、分からなくなる
角田光代 原作
高良健吾・初音映莉子・草刈民代
普通じゃない家庭に育った泰子は一人暮らしで結婚寸前。
そこへ昔一時期一緒に暮らしていた智が転がり込んでくる。
智の母は父の愛人で家庭を壊した張本人。
過去の温もりを思い出して、自然と身体を重ねる泰子と智。
自分を捨てた母を探す泰子、男の元を転々とする智の母、泰子の異父妹、俄に賑やかになる泰子の家庭。
程なくして泰子は妊娠する。父親は智。
複雑な家庭でも幸せを模索する泰子と智。
果たして普通の家庭とは何なのか、観るものに問いかけてくる。
高良健吾は映画が似合う。
自然と寄り添い合う人が良さそうな智。屈託なく笑い惑いを見せないが、心の底では孤独になることを恐れている。
感情の出し入れがとても上手い。
じんわりと深みがある。
奇妙な人間関係。
みんな何かが欠けている。普通に見えていそうでも、欠けている。
だらだらと、だらけて生きている。まるで自分の意志がないように。
ただ思うように、いや、惰性に流されるように生きている。
つまり、見ようによっては、だらしない連中が覇気もなく気怠く出てくるだけの映画だった。
だけどなんでだろう、エンドロールが流れている間、なんだかわずかに温かみを覚える涙が流れてきた。直子と泰子の別れのシーンを思い出し、手帳を火にくべるシーンを思い出し、泰子の笑顔のラストを思い出しながら。たぶん、自分も小さいながらも何かが欠けている人生を過ごしているからだろう。
そしてその感情は、「泥の河」の読後と同じ種類のものだと思い出した。
魅力無し
普通じゃないって何が?
直子は確かに普通じゃないけど何の魅力も感じない。
智は生活感がない…というか、ただ働いている姿がみえなくてどうやって生きているのかわからないだけで普通の人だし、泰子は育った家庭が変わっているだけでやっぱり普通の人だし。
これと言って惹かれるところがないちょっとだらしない普通の人達が、特に追い詰められるでも苦悩するでもなく成り行きでくっつく話にしか感じられない。
その割にはみられたけど、特に面白味もなく、ふ~ん…という感じ。
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