劇場公開日 2017年7月22日

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「コミック「ドラえもん」も禁書なのか?!」十年 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5コミック「ドラえもん」も禁書なのか?!

2020年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1.「エキストラ」 監督:クォック・ジョン
 真愛連ラム党首と金民党ヨン党首の二人が主催するメーデーの集会。裏では拳銃を持った男が二人。そして警察の幹部たちの雑談・・・警察はテロを起こさせて“国家安全条例”を成立させようと企んでいたのだ。拳銃を持った男は裏社会の下っ端で、テロを起こせば死刑も覚悟しなければならない状況で、インドへ行こうなどと話し合ってるのだ。
 テロは自作自演!なんだか日本でも似たようなテロ対策特別措置法の成立があったけど、ここまでの演出はなかったな。結局は背景に中国共産党があり、市民を取り締まることが容易になるということ。その片棒を警察が担っているのだ。
 全編モノクロで迫力があるし、これは香港だけの問題じゃない!と痛感。行動のみならず言論まで統制されるファシズムを感じる・・・

2.「冬のセミ」 監督:ウォン・フェイパン
 壊れた建物内で男女二人が黙々と標本を作っている。現在生存する生物は870万種。それはかつて地球に存在した生物の2%に過ぎないというウンチクも語られ、宇宙の映像によって神秘的に表現される。
 人間も標本にしなければならない!外の状況がよくわからないのでSFチックな内容も理解しづらい。

3.「方言」 監督:ジェボンズ・アウ
 普通話の普及政策により、タクシー運転手も広東語だけじゃなく普通話の試験が課せられた。落ちると空港や港に客を運ぶことが禁止となり、自由に稼ぐことができなくなる。言葉の違いがよくわからないけど、日本で言えば標準語と関西弁の違いみたいなものだろうか?
 親子の会話でさえ発音が違い、コミュニケーションが取りにくくなる。これも中国と香港の文化が壊されていくことに他ならないのだろう。タクシーだけに身につまされる話だった。

4.「焼身自殺者」 監督:キウィ・チョウ
 2025年、英領事館前で焼身自殺した人物がいた。目撃者もおらず、誰だったのか発表もできない。しかし、独立運動の信念を持ちながら獄中死したオウヨン青年の後追い自殺じゃないかと思われた。恋人カレンがもしかしたら自殺したんじゃないかと心配する彼氏。様々な憶測が飛び交う中、自殺者の追悼集会が開かれる。
 イギリス頼りという考えや、ドキュメンタリータッチで描かれるストーリーは案外面白くなかったけど、ラストシーンは秀逸だ!ちょっと涙が出る・・・

5.「地元産の卵」 監督:ン・ガーリョン
 2025年、香港最後の養鶏場が閉鎖される。息子のチョンは知識と技術を買われて台湾に渡る。雑貨屋の店主は諜報活動をする少年団が写真を撮り、通報すると言われ驚く。「地元」という言葉が禁止用語リストに載っていたのだ。
 この少年団はナチスのヒトラーユーゲントみたいな恰好でおぞましい。ターゲットになったのは書店がメインで、禁書を摘発しようというのだ。本屋は少年団に卵を投げられるなどの被害を受けるのだが、ミン少年のとった行動がとてもよかった・・・禁書に対する静かな抵抗。「進撃の巨人」など、日本のコミックも登場するのが印象的。焚書坑儒まで思い出した。

 全体的に香港の独立性、自治などを取り扱ったものが多く、中国共産党批判の内容が中心だ。香港の立ち位置も理解できるし、2047年以降を心配する気持ちもわかる。すべては若者世代にかかっている。どうなるのだろうか・・・

kossy