劇場公開日 2018年5月25日

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「日本ほどピッタリな舞台はない」犬ヶ島 shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日本ほどピッタリな舞台はない

2018年4月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

和太鼓が鳴り続けるなか、ポップな絵巻物を見ているかのような映画でした。

「さすがに和テイストだからデスプラさんじゃないだろうけど、音楽が良いなぁ。」と思いながら見ていましたが、なんと今回もデスプラさんでした!すげ〜(^◇^;)
改めて、操れるジャンルの幅広さに脱帽。
七人の侍もテンション上がりました。

モブキャラの犬達に至るまで、どの犬も登場シーンが印象的でカッコイイです。
なかでもナツメグ。
めっさイイ女!(←犬だけど)
遠目で逆光なのにもかかわらず、最高に魅力的な大人の女だとわかります。(←犬だけど)
バードボイルドな男とイイ女の会話の素敵なこと!二人の掛け合いに痺れました。(←犬だけど)

日本語字幕とは別に、スクリーンに縦横大小の文字が表示されますが、残念ながら小さい文字は読み取れなかったので、デザインを楽しみました。(*´ー`*)
どうせBlu-ray買って隅々まで何度も観るから良いのですが、劇場で読みたいなら席を考えた方が良さそうです。

ウェス・アンダーソン監督のファンになって久しいのですが、なかばお約束になっている動物虐待シーン(しかもガッツリ)がいつも謎でした。
本作は、そんなシーンに対する監督からの一つの答えのような気がしました。

逃げ出してノラを選択した犬、人間の警護を選択した犬、私達人間は“飼っている”つもりでいるが、その気になればいつだって犬達は選択出来る。

人間達が“捨てた”と思っている島で、彼らはたくましく野性味ある秩序を持って生きている。
そもそも身勝手な人間のレスキューなんて無用なのだ。

けれども、そんな彼らが私達のそばにいてくれるのは、私達が可愛そうだから。
ハグした時、私達の温もりを心地よく感じてくれているから。
ただそれだけに他ならない。

人間どもの身勝手さと、犬達の寛大さ。
犬ケ島の動物達が、立入禁止区域に取り残された動物達と重なりました。
それに動物実験で犠牲になった仲間たちをメンバーに加える為にも、地震と津波と原発を経験した日本は舞台としてピッタリ。

shiron