劇場公開日 2018年11月1日

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「三島有紀子の映像表現手帖」ビブリア古書堂の事件手帖 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5三島有紀子の映像表現手帖

2024年1月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

それから、単純なエンタメ作品だと思っていたけれど、物事を暗示する気のきいた演出の場面がいくつかあったり、人の心がわかる者とわからない者の対比という、ちょっと弱いながらもテーマもあったし、想像以上に芸術性のある作品だった。
原作もあるし雰囲気とタイトルだけでは掴めない光るものがあったね。
「好きな人が本好きだった」がいろんな形で絡んでるのも気が利いてて良かった。

それから、最初の想像では、栞子が古書から過去を紐解いていき、徐々に明らかになっていくロマンスミステリーなんだと思っていたから、栞子が一瞬でほぼ全て見破ってしまうのは何だか物足りなさを感じた。そのへんは原作通りなのかな?
変わり者の名探偵と常識人の助手というスタンダードな人物設定でありながら肝心のミステリーパートはほとんど意味なかったのは少々残念。

それから、過去シーンのくすんだ感じが良かったよね。映画がフィルムからデジタルに変わったおかげなんだけど、ライティングも印象的で美しかった。

それから、栞子を演じた黒木華もそうだったけど、若い絹子を演じた夏帆は特に美しく撮られていたと思った。そこは女性監督ならではなのか夏帆の実力が上がったからなのかわからないけど、かなり魅力的だったと思う。

それから、サイコパス犯罪物とかが好きなので、サイコパスについて調べたりしているうちに多少詳しくなったのだけど、大庭葉蔵がシリアルキラーと同じ性質のサイコパスだということがとても興味をひかれた。彼は殺人に性的快楽を求める典型的なシリアルキラーとは違って、太宰治に対してのみ執着するという違いはあるが。
終盤の逃走シーンのスピード感を悪く書いている人がいるけど、ワイルドスピードならぬマイルドスピードでの走りにこそ大庭葉蔵のサイコパスさがにじみ出るイイ場面だったと思うよ。

それから、全体的には半分エンタメで半分芸術の作品で、そのせいで少し満足度は低いが、半分エンタメで半分芸術の太宰の小説みたいで、なんだか面白いとも思った。

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つとみ