劇場公開日 2017年9月29日

  • 予告編を見る

「犬の目的」僕のワンダフル・ライフ Garuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0犬の目的

2022年11月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ベイリーと名付けられた犬と少年との間に生まれた強い絆、そして、死んだベイリーが何度も輪廻転生を繰り返しながら、大人になった少年と再会するまでを描いた物語である。

 原題は、「A Dog’s Purpose」(犬の目的)。 邦題も可愛くてなかなかのセンスだが、原題の方が作品の性格とメッセージをより正確に伝えている。 「犬は、なんらかの目的や役目を持ってその飼い主の元へ来る―」というのが、この物語の主題だ。

 語り部は、主役犬のベイリー。 飼い主の少年をはじめ、転生後の家族たちとの関係を犬目線で物語っていく。 飼い犬が死ぬ話だから人間としてはどうしても悲しいのだが、ベイリーの語り口に湿っぽさは微塵もない。

 人間たちの営みに首を傾げながらも、否定や拒否をするわけでもない。 飼い主の悲しみや落ち込みを感じた時は、なんとか喜ばせて元気づけようと懸命に尽くす。 そして後は、走り回って毎日を思い切り楽しむだけ。 誰もが良く知っている、ごく普通の犬の有り様、というか生きざま?が、忠実に描かれているのである。

 この作品を観て改めて気づかされるのだが、犬は、飼い主や家族と共に過ごす幸せを存分に感じたい、ただそれだけのために生きているということだ。 犬が飼い主の元へ来る目的というのも、結局、そこなのではないだろうか。

 この作品を観た犬好きの多くが、最初から最後まで大泣きと大笑いの連続だったに違いない。 ただ、製作者側が、観る者の感情を振り回すためだけの演出を施しているようには見えなかった。 作りは単純で、ごくありふれた犬の日常の風景に、人間が想像する犬の本音を重ねているだけだ。 それでも、この作品で表現される犬の思いは、かなり正確に的を得ているのではないかと感じた。

 アメリカ人は動物を擬人化するのが昔から大変上手いが、この作品では、その技術とセンスが存分に発揮されている。 5人の脚本家が名を連ねているところをみても、かなり丹念に練り上げられたのだろう。 人間模様も丁寧に描かれていて、 そもそもドラマとしての完成度が高い。

 アメリカ製の動物モノ作品の中では、かなりの秀作だと思う。

コメントする
Garu