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◆キングスマン ゴールデン・サークル

英紳士、アメリカへ。破天荒な闘いがますますクレイジーに咲く!
  彼らに会いたければ、ピカデリー・サーカスからほど近いサヴィル・ロウへ赴くといい。その通りに店を構える"キングスマン"は表向きこそ高級テーラーだが、秘められた素顔は、どこの国家にも属さないスパイ組織。しかしこれまで幾度も世界を救ってきた彼らも、本作では急転直下、敵の急襲により本部やメンバーを根こそぎ失ってしまう。生き残ったのは2年前にストリートから這い上がったエグジー(タロン・エガートン)と、メカニック担当のマーリン(マーク・ストロング)のみ。孤立無援の二人が流れ流れて辿り着いた米ケンタッキー州で出会ったものとはーーー?

  「マナーが人を作る」とは前作で幾度も繰り返されてきた格言だが、今回は英国人たる彼らが自国の伝統や文化から離れ、型破りな米国式マナーの洗礼を受けることに。といっても、そこにはカウボーイにバーボンなど、あくまで英国人の目線を通してカリカチュアされた異国文化がてんこ盛り。そんな中で米スパイ組織"ステイツマン"の力を借り、ノリと価値観の全く異なる面々となんとか共闘していく姿がクレイジーに描かれるのである。

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  かくして前作の階級間の衝突は、二作目にして文化間の衝突の物語へと拡大、発展を遂げた。さらには、かつてメンターだったハリー(コリン・ファース)が、今回は一変して少年のような無邪気さを見せ、失った記憶を呼び戻すべくエグジーに導かれていく逆転現象も面白い。

  ロンドンタクシーが激走するカーチェイスや、さながら007映画のごとき雪山でのスペクタクルまで、マシュー・ボーン監督が紡ぐアクションシーンは相変わらずおもちゃ箱のような楽しさが満載。一方で、キングスマンとステイツマンの前にそびえる"最強の敵"も肝心だ。その嬉々としてサイコな役に身を投じるジュリアン・ムーアが、祖国への想いをジャングルの奥地にて奇抜に具現化している点もどこか「地獄の黙示録」的で憎みきれない魅力がある。

  そう、ここでは囚われの身としてピアノを弾かされるエルトン・ジョンを含め、多くの人々が、愛する場所から遠く離れ、郷愁を抱きしめているかのよう。それゆえ、いつしかマーリンが腹の底からジョン・デンバーの名曲「故郷に帰りたい」を歌う姿にも、無性に胸を締め付けられるものを感じるのかもしれない。続編らしいスケール感と共に、キャラの内面もしっかりと掘り下げられた、まさに2時間21分の破天荒な心の旅路のような一作と言えよう。

(牛津厚信)


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