劇場公開日 2017年10月13日

  • 予告編を見る

「シーザーは神話になった」猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0シーザーは神話になった

2017年10月16日
iPhoneアプリから投稿

超絶大傑作。シーザーの物語の完結編としてだけでなくオリジナルの『猿の惑星』へ繋がる物語としても完璧。そして何よりシーザーに魂を与えたアンディ・サーキスに拍手を。修羅の道を行く姿は『許されざる者』のイーストウッドが重なる。本作でシーザーは英雄になり神話になった

『創世記』では猿と人間の間で揺れたシーザーは『新世紀』ではエイプを殺めヒトとの共存を諦めたが『聖戦記』ではそれ対するこれ以上ない回答も提示された。つまり「壁」を作るのではなく「繋ぐ」ことが大事なんだということ。トランプ観てるか?

オリジナルシリーズが人種差別(と核戦争)の風刺劇であったようにそこを描くことで『猿の惑星』との繋がりが強まった。あとルパート・ワイアットの『創世記』にも敬意を表してか「脱獄」を描いたのもいい。マット・リーヴスは『創世記』をかなり高く評価しとったもんな

『許されざる者』に例えたように展開は西部劇そのもの。雪山でのシーンも多くて『殺しが静かにやって来る』も想起した。『地獄の黙示録』感はわかりやすくし過ぎで笑ったけど

人類は滅びたのにエイプは滅亡を回避できた理由が最高(ネタバレじゃない。マット・リーヴスは前作の頃から本作の結末を明らかにしていた)。猿ならではの本能的なアクションで「なるほど!」と思わせる力業!

結末は涙無しでは観られない。シーザーの目から一筋の涙が流れるカットは『最後の猿の惑星』の石像から同じく一筋の涙が流れるラストカットを参照している(はず)。でも俺は一筋どころじゃなく鼻水をすすりながら泣いたよ。ありがとうシーザー。愛してるぜ

現状今年ベスト。シーザーを愛してる

ヒートこけし