ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
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衝動
旦那と夫婦関係が上手く行っていない主人公の元に、19年前に別れた元旦那からバイオレンスな自作小説が届き読みふけて行く話。
現在の話と小説の中の話とを行ったり来たりしつつ、元旦那との過去の話も少し交えてストーリーが展開して行く。
単純な内容ながらハラハラドキドキと小説の中のストーリーだけでも一つの作品として面白く、そこにハマり作者である元旦那のことを想起して行くという展開も単純だけど悪くない。
メインのストーリーも意外性はないしあっさりではあるけれどなかなか楽しめた。
全体を通して一番インパクトがあったのはオープニングだし…ある意味出オチかも。
一秒も目が離せない!
映像の力強さに、心ごと持っていかれます。
観ている最中はもちろん、観終わった後も全身に鳥肌が立つような感覚が止まらず、なかなか現実に戻れませんでした。
ヴェネチア国際映画祭には、人間の業を描く作品が選ばれるイメージを持っているので、審査員賞にも納得。
まさに女の業、人間の業が描かれていました。(*´∇`*)
小説の中の物語と現在と過去。
三つのパートが絡み合いながら進むのですが、それぞれのパートで色調や曲が異なり、
特に小説パートの暖色と現在の寒色のコントラストが素晴らしく、細部にまでこだわりが詰まっていました。
一流のバレエダンサーは、ポーズから次のポーズまでの間(ムーブ)も絵になると言いますが、まさにそんな映画です。
小説パートは、かなりの緊張感を強いられるので、主人公が本を閉じて現実に戻る度にホッとしますが、徐々に物語と現実が対となりリンクしていくので、彼女がどれだけ小説の世界にのめり込んでいったのかがうかがえます。
そして、観客も映画にのめり込まされて、抜け出せなくなるというww
一筋縄ではいかない魅力と、語りかけてくるような映像を、ぜひ劇場の大きなスクリーンで堪能していただきたい!
◼︎追記(プチネタバレ注意)
オープニングロールから圧巻で、『さすらいの女神たち』に出てきたようなニュー・バーレスクのダンサー達は、猥雑でグロテスク、チャーミングでユーモラス、威圧的なまでの自信が美しい。
続くファーストシーンは、平面の動と立体の静とか?虚構の生とリアルな死とか?
もう、一気にいろんなイメージがグチャグチャと押し寄せてきて、初っ端から大興奮でした。
彼女は過去の罪悪感から、いつか元旦那に復讐されるのではないかと、心のどこかでずっと怯えていたのではないでしょうか?
ラストシーンは、完璧すぎる復讐に対する喜びと安堵もあったように思いました。
お気に入りは、口紅を拭き取るシーン。(トークゲストのミッツさんも熱く語ってらっしゃいましたが)
彼女がとてもいじらしくて、てっきり服も着替えるのかと思ったのですが…そこはそれ、結局彼女はステータスを捨てられない。
母親の予言通りの女だったということですが、強かさも女のチャームポイントよね♪
圧倒的な映像美
どぎつい、悪辣、繊細、豪奢、女性への業、凶暴、優美、狂気、復讐・・・一つの作品からの連想にしてはまとまりのない羅列ですが、初見で感じた印象です。
そして悪夢のような世界を描く、圧倒的な映像の美しさにただただ圧巻です。
2つの現実と、限りなく近くて遠い虚構・妄想。
映像の美しさもあって、薄い紗越し、もしくはガラス玉越しに世界を見ているような気分でした。
繊細でもろくていびつで、純粋で暴力的な吸引力。
見るたび、年齢や性別・人によって印象が変わる作品だと思いますが、カルト的熱狂はらむ作品だと思いました。
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