ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
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意外なラスト
冒頭が主人公のアートで始まるが、強烈で結構な尺もあってか、一気に引き込まれた。
そこからは、現在、過去、小説の3partで繰り広げられていくが、混乱させられることなく、特に小説partでハラハラさせられ没頭できた。
小説読み終えた、ちょっとやそっとじゃ動じなさそうな彼女にはリベンジと受け取られたのだろうか...
うまくいかない現実を逃避したくて、懐かしく少しいとおしく感じただけかも。
現実が順風満帆なら、昔の男の小説なんぞ読まない性格してそうなので。
そしてラスト、あっけない終わりでしたが、これが弱い元彼の仕打ち?彼女の心に届いたのかな??
でもこのラストも含め、かなり楽しめた映画でした。
超大人向けの嫌ミス映画
昔別れた夫から送られてきた小説を読んでいるうちに…。
その情報だけで観てきましたが
いや〜〜〜〜強烈です。
冒頭の芸術作品の表現もきついし
主人公の現在の夫への対応もかなり厳しいし、
送られてきた小説の話もかなりえげつない!!
観てる間中苦しかった!
この先どうなってしまうのか
予測不可能な話で確かにのめり込んでしまうけど
観終わった後はまさしく「嫌ミス」
それも最高に美しく芸術的な極上の「嫌ミス」
ただ、沢山の方が書いておられるけれど
この小説の内容、元妻への復讐だけではないと私は感じた。
いろんな意味で元夫の「弱かった自分自身」への
懺悔も含まれているように感じた。
もっと自分が強ければ、元妻もここまで非常な女には
なってなかったのではないか?
そんなことを観た者同士で語り合ってみたい。
十分に語りがいのある映画だとは思う。
★もう一度観るなら?「もういい」
忘れたはずの過去に復讐される
これはかなりの衝撃作だった
映画を観終わった後、息が苦しくなって、自分の気持ちをなだめるのに必死だった
人生経験のない若さから生まれる無邪気さは、それはそれで素晴らしいけれど、時には恐ろしい残酷さをはらみ、自分が犯した罪に気付かないまま大人になる
いや、気付きながらも、それを心の奥底に封印し「何もなかった」かのように人生を歩む
そしていつの日か、自分がもっとも嫌っていた人種へと成長していることに気づく
これは、自分が過去に手放した幸せからの逆襲である。
キッチリと蓋をして、封印したつもりでも、人は過去に犯した罪から思わぬ方法で復讐される
そして、その罪を背負い、一生眠れない夜を過ごすことになる
目の前にいる人の財力や地位を取り除いたら、一体何が残るのか
じっくりと考えたい映画だった
それにしても、衝撃作だった
観る人の力量を試す映画
細かな描写まで、とても計算された映画だと感じた。
冒頭のスーザンが小包の紙で手を切るシーンだけでも、スーザンの空虚な幸せを表現しているのだと思った。2回も「紙で指を切っちゃった」って言ってるのに使用人は「大丈夫ですか?」の一言もない…
小説の中のストーリーの前半は
途中退席したいくらい、苦しかった。
妻と娘をレイプされ、そして殺されるトニー。
過去スーザンとエドワードが結婚していたとき
スーザンはエドワードに黙って子どもを中絶し、その上浮気をする。
エドワードにすれば、子どもを殺され、その上子どもを身ごもった体で浮気をしたのであれば
小説のストーリーのトニーに身に起きたことくらいの苦しみだったのかもしれない。
妻を寝取られ子どもも殺される。お前にこのつらさが分かるか?とエドワードは言いたいのかなと思った。
そして小説のラストは
トニーは復讐を果たすも目が見えなくなり、殺したはずのレイを見ることができない。
トニーはずっと夜の世界に引きずり込まれ、そして死んでしまう。
そして映画のラストは
エドワードと会う約束をして、セクシーな格好で結婚指輪を外し期待を膨らましてレストランで待つスーザン。
だけど、エドワードは姿を見せることはなかった。夜が続いていく中、最後はスーザンの瞳のカットで終わる。
「お前は何も見えちゃいない」という意味なのだろうか?
くぅーーーーーー!
いい映画だけど、もう観たくない!
あとさ、レイ役の人キック・アスの主人公だったんだね!
気づかなかった。
まあ、普通です。
映画を見るのに監督がデザイナーだから面白くなるわけでもなく、退屈もしないけど割と普通の、わかりやすい多重構造の作品。日本と違って向こうじゃ監督はカメラを覗くことも禁止らしいし。
主役の2人はミスキャストじゃないかな。うまかったけど。他はいい感じでした。
なんか色々考える点はありそうだけどあまり面白くなさそうな気がする。
始まりから不思議な
始まりから不思議な構成で。
アートのパーティから始まり、現在と過去の出来事と。前夫が送ってきた小説の3つの物語が同時に進行する。
どの画面も美しく。
失ってしまったものの美しさや、理解できない現実の憤りや。
色々あるんだけど、この映画はなにが言いたかったのか。
難解だ。
愛?復讐?
主人公二人の演技は凄い。
若い時は本当に若く、現在と違う。
見え方なのか見せ方なのか。
合わなかった…
合わなかった…ダメだった…
終始ジェイク・ギレンホールを通じて自分の弱さを突きつけられているようで、不愉快だった…
若くも年相応にも見えるエイミー・アダムスとジェイク・ギレンホールはスゴいなとは思ったけど、ダメだった…
復讐劇
別れた元旦那から小説が届く。現実と小説の世界が同時並行で描かれてゆくストーリー。
元旦那のありったけの愛と憎しみを込めて作られた小説に引き込まれてゆくが、実にヨーロッパ的で、特に目立った復讐劇には発展しない。
例えばその小説が売れ、元旦那が世界的に有名な作家になる、とかなら「弱い」旦那が元妻へ贈る最大の復讐劇になるのだろうが、結末も実に「弱い」のだ。(むしろ一番傷ついたのは、旦那の浮気を悟った時ではなかろうか。)
アダムスとギレンホールの実力派を起用することで安定した作品に仕上がっているが、前作ほどストーリーやカメラワークに美を感じない。
成熟した大人向きの余韻深い作品
主人公Susanの元に20年近く前に別れた元夫Edwardからいきなり新作のゲラ刷りが送られてくる。作家志望だった彼がまだ小説を書き続けていたこと自体、彼女にとって意外だった筈ですが、彼がその新作で何を彼女に伝えたかったのか、その見方によって印象が全く変わるかも知れない、そんな作品でした。過去の彼女の仕打ちに復讐したかったのか、自分を作家として認めさせたかったのか、はたまた彼女と和解したかったのか.、あるいは... この点は原作にも書かれていないようですので想像の域を出ませんが、彼と別れてからSusanは美術商としてそれなりの成功を収めつつも、公私の蹉跌を経験し、自省に向き合える時機であったことは間違いないでしょう。最後の最後まで謎解きをさせぬまま終わってしまうのですが、観終わった後も暫く座ったまま感慨に耽りたいような、大人の余韻を楽しませてくれる作品でした。
本を読む。ただそれだけのことが洗練されたミステリー。
「シングルマン」以来のトム・フォード監督第2作目。「シングルマン」は私の中ではその年のベストとして君臨し、未だにあの物憂げで悲しい程美しかった映画のことを思ったりするほど大好きな作品だった。そして第2作目となった「ノークターナル・アニマルズ」を見ても、やはりトム・フォードの美意識がきらめいていて、実に美しい映画だった。何しろトム・フォードだ。都会的な洗練された美意識が映画にも投影されて、それは西テキサスという、アメリカでも特に田舎の奥地を写し撮ってさえ、トム・フォードの演出がかかると都会的な質感がベールのように覆いかぶさる。そしてその洗練が「シングルマン」では中年の男の孤独とリンクし、今回の作品ではミステリーやサスペンスとリンクした。ファッション・デザイナーが映画の監督をするというと、ファッション誌的な華美を連想しがちだが(ジェナ・マローンの着用した衣装と「REVENGE」の美術品には若干そういう気配もあるものの)、トム・フォードは自身の美学を完全に映画的に応用しており、それがストーリーが併せ持つミステリーを呼応させる効果を生んだ。原作の小説もストーリーの大筋は同じようにエドワードの書いた小説とスーザンの現在と回想が同時進行で描かれる手法で映画と変わらないが、原作にはこの映画のような都会的な質感やソフィスティケートされた雅馴といったものは必ずしもあるわけではなく、いわばこの映画オリジナルなもので、おそらくはトム・フォードが付与したものなのだろうと思われる。映像を見ているだけでドラマティックだし、映画美術をみているだけでサスペンスフル。映画が瀟洒であればあるほど、どこかミステリアスでスリリングさを増していく相乗効果。改めて、ファッション・デザイナーとしての才能だけでない、映画監督としての才能を再確認する作品だった。
本を読み、思い出を振り返る。ただそれだけのことがこんなにもミステリーになるなんて。スーザンはただ、本を一冊読んだだけだ。それ以外のことは何もしていない。しかし、彼女の中にはあらゆる感情が沸き起こってくる。エドワードは、かつて小説家志望であることを打ち明けた相手に、ようやく完成した処女作を批評してもらいたかっただけかもしれない。そしてエドワードがしたことは、ただ小説を彼女に送り付けたそれだけだった。しかしスーザンは、彼の書いた小説を読みながら、彼の真意や他意を読もうとしてしまう。小説の登場人物、トニーはエドワードかもしれない。ローラはスーザンかもしれない。小説は愛かも知れない。いや憎しみかも知れない。いやそんなことはない。トニーはエドワードではないし、ローラはスーザンでもない。小説は愛でも憎しみでもないただのフィクションかもしれない。しかし本を読むという行為は、その物語を生きることであり、否が応でも自分自身と重なっていく。まして別れた夫が書いたものなら尚更。本と現実と記憶がどんどん混同されて眩暈のように巡っていくスーザンと共に、観客もこれは回想録なのか?スーザンへのメッセージなのか?それは愛の告白なのか、復讐なのか・・・?と、惑わされて行く。ミステリーとは、起こる出来事のことではなく、内面に沸き起こるもののことを言うのだろうと、この作品を観て思った。ミステリアスなことが起こり、ハラハラすることが起こるからサスペンスなのではない。自分自身の内面が、惑い、憂い、そして見えぬものを見ようとし、見てもないものを見たように思ったりすることが、ミステリーでありサスペンスなのだなぁということを強く感じた。それこそ、ただ本を読むというだけの行為でさえ。映画を見るというだけの行為でさえ。
そしてエドワードが書いたとされる劇中劇がまた息もつかせない内容で吸引力が高い。原作の小説でも、彼の小説の部分は読み始めると止まらなく魔力を持っていた。物語は悲劇の一途を辿り、正直不快でしかない。きっとスーザンも同じ気持ちだったろうと思う。それでもスーザンが心乱しながらもページをめくらずにいられない気持ちがよくわかるような物語が映画の中を並走し、それが現在のスーザンと過去のスーザンとフィクションの世界のスーザンとを絡ませていく。ここでアイラ・フィッシャーの起用は完全に確信犯。回想ではないけれど他人ではない人物を演じさせるのに、アイミー・アダムスとアイラ・フィッシャーを重ねるのはあまりにも絶妙過ぎてちょっとしたギャグみたいなもの。でも彼女ら二人を共演させる上でこれ以上ベストなやり方は見つからない。
ラブストーリーであり、ミステリーであり、心理サスペンスであり、心理ドラマでもあるこの作品。謎を残して終わるエンディングは、余韻となって良かったような、あらゆる解釈が取れるような、いや解釈の取りようがなくて不服なような・・・という感じがして、少し物足らない部分も残る。最後の約束は何だったのか?エドワードの本意は?そしてあの小説の真意は?とスーザンと同じ気持ちになったまま映画は終わる。ミステリアスな終わり方で好きだと思う反面、自分の解釈を取るにはもう少しヒントが欲しいような、そんな気持ちにさせられたものの、都会的な大人のミステリーを味わう洗練された作品で、やはり私はトム・フォードを好きだと思った。
圧巻❗
裸はまーあるでしょう、と構えてたら、冒頭でやってくれます、でも醜いんだけど芸術にみえるから不思議。
そして、思いもよらない小説の中身にもーハラハラ、ドキドキ
今時のサスペンスみてもこれ程緊張しないと思う。
伏線かな?「リベンジ」と書かれた絵画と小説の中の警部の問いかけ?
何度も気持ちを確かめる。ここに元妻に伝えたい思いが?
最後、ときめきながら待つ、そして、裏切られた事を悟る、その表情。
エイミーアダムスってお化粧薄いほうがキレイ。上手く演じ分けてたな〰️。ギレンホークも。
まさに競演。疲れた~😃
語り口の妙
話の本筋は、とてもシンプル。
しかし、
現実。
過去。
小説。
この3つのストーリーが、
パッチワークのように紡がれていく。
それが、観客の想像力を刺激する。
さらりと魅せるが、
末端まで心配りが行き届いた映画。
スマート。
美しい。
ノクターナル・アニマルズ
2017年105本目の劇場鑑賞。
20年前に別れた夫から突然小説が送られてきたことに戸惑いながらも、
その衝撃的な内容に惹きつけられていくヒロインの不安と葛藤を、
過去と現在に加え劇中小説の物語も巧みに織り交ぜ、
美しくかつスリリングに描き出す。
開始早々度肝を抜かれるオープニングで、
グイグイ引き込まれて行くこの感じ。
芸術とは人の心に衝撃を与えて奥に潜っていくもなんですね。
小説の中の物語と現実のストーリーを平行して映し出し、
曖昧になっていく現実と小説の世界。
全く先の読めないストーリー展開でした。
豪華で演技力のある俳優たちの出演、
印象的だったのは刑事役を演じたマイケル・シャノンです。
とにかく顔が怖すぎでした。
美しいほどの完璧な復讐劇は見応えありました。
いきなり醜く、気持ち悪いのが続く
エイミー・アダムス&ジェイク・ギレンホール出演。
ファッション界のトム・フォード監督という事で鑑賞したが、オープニングから醜い画像とストーリーが続くと劇中劇内も含めてありとあらゆる犯罪と宗教上の戒律違反と見ていて気持ち悪くなった。
見事な復讐!
『シングルマン』がかなり好きなので、こちらの作品も期待して観に行きました。
なんでしょう…冒頭からグイグイ引き込まれて行くこの感じ。
映像、台詞の一語一句見逃せません。
母のようにはならないと思えば思うほど近づいて行き、母が言った通りの結末を迎えるスーザン。
彼の才能を信じず、酷い仕打ちをした挙句、一緒になった夫とも上手くいってないところに、小説が届く。
今も思い出し、小説の面白さにどんどん惹かれ、会うことにウキウキドキドキ。
上げて上げて最後に落とす感じが、ゾワゾワしました。才能で復讐…
『Revenge』と描かれた絵画と愛しているなら、もっと努力をしなきゃいけないって台詞が、なんだかとても印象的でした。
ラストシーンのスーザン、全てを悟った表情に見えました。
で? ん?‥‥‥みたいな最後で。
最後の表情が、すべてを物語っているのだろうけど、「わからん!」というのが正直な気持ち。
自分への言い訳なんだろうか。
予測できる事態に、対応しなかった過去に対する自作自演?
マジ、わからん!
最初のインパクトが凄い…でもラストには繋がらず
最初の衝撃的なシーンは、予想していなかった展開に心が鷲掴みにされる。
この監督ならではのアートな世界観に魅せられる。
ただ、全体としてはここがピークだったかもしれない。
小説の回想シーンなどは緊張感もあって良かったけれど、尻すぼみの感は否めない。
あとひとつ何かが足りないが、観てよかった出色の作品。
トムフォードの感性により広がる鮮やかかつ時には虚構的、時には暴力的...
トムフォードの感性により広がる鮮やかかつ時には虚構的、時には暴力的な世界観に不思議と引き込まれていく
この映画で描かれるある種の切なさ、そして怨念をトムフォードの幅広く壮大かつ繊細な表現とエイミーアダムスとジェイクギレンホールの対照的な演技でより魅力的に展開していく様が見事にマッチしている
この非現実的な現実空間(主人公スーザンの現在地LA)と限りなく現実的な非現実空間(小説の中のテキサス)の対比が素晴らしく効いているのもトムフォードの狙いとして大成功である
現在の空虚な生活、過去の自分がした仕打ちとそれについての想いが込められた小説を経ての待ち合わせにより元夫の20年の復讐は完遂する
主人公スーザンはその時、より、空っぽな物が胸の内に覗かせるかもしれないであろう
そしてそれを見届けた観客もまたこの物語に対して空っぽな物が胸の内に生じているのかもしれない
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