劇場公開日 2017年11月11日

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「ソン・ガンホ兄貴!」密偵 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ソン・ガンホ兄貴!

2020年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 チョン・ジヒョンが主演した『暗殺』(2015)も抗日密偵を描いていたが、内容はともかく韓国人の日本語が下手すぎて興覚めした。今作では韓国人の日本語はほぼソン・ガンホと橋本役のオム・テグなので、字幕つきということもあって不自然さはなかった。

 主人公のイ・ジョンチュルは過去の功績が認められ、独立運動家を取り締まる警務だ。重要メンバーのキム・ジャンオクを追い詰めるも自殺されてしまい、職務の対抗馬として橋本警部(オム・テグ)が赴任する。功名心旺盛の橋本に対して、イは同じ民族である運動家に気持ちが少し揺らいでしまう。チュ・ドンソンの情報により写真館を営むキム・ウジン(コン・ユ)に接近し、上海租界にて接待を受けるほどになるのだが、そこに警察も正体を掴めていない大物チョン・チェサン(イ・ビョンホン)が直接酌を交わしてくる。同じ民族だとして、とにかく上海から京城へと爆弾を運ぶのを見逃せというのだ。あまりにも大胆な接触によりイ警部も心が揺らぐのだった。要は二重スパイになれと・・・

 もっとも面白いのが列車内での警察と組織との駆け引き。イ警部も橋本警部もそれぞれ接触する相手が違っていて、誰がスパイ、裏切り者なのかというスリリングな展開が繰り広げられる。組織の人間はそれぞれ別の席だし、メンバー全体を把握できない。しかも、随時密偵から連絡をもらい、どうやって逮捕するのかと緊張感が高まるのです。

 拷問のシーンや激しい銃撃戦、そして爆破シーン。見どころはいっぱいあるのですが、列車内の展開が最高。終盤も同胞意識と裏切りが炸裂して、アニキとしての師弟愛みたいなものが感じられる。失敗してもいい。とにかく前進あるのみ。

kossy