劇場公開日 2017年8月4日

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ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 : インタビュー

2017年8月3日更新
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山崎賢人×新田真剣佑、実写化の重圧は「ワクワクする」 死ぬ気で挑んだジョジョというジャンル

荒木飛呂彦氏による人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」が実写映画化される。2016年9月28日に行われた会見で発表されるや、原作ファンの間では期待と不安の声が入り乱れ、大げさではなく多くの論争を巻き起こした。スペイン・シッチェスでのロケを経て完成した「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」は、17年8月4日に公開を迎え、ついに観客が“真の評価”をくだせる日がやってきた。主演・山崎賢人と共演・新田真剣佑は、今作にどのような思いを抱いているのだろうか。(取材・文・写真/編集部)

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人間讃歌が根ざす高貴な物語・セリフ、曲者ぞろいのキャラクター、“スタンド”を駆使した予測不可能の戦闘、破壊的な擬音やポージングなどが高い人気を博す「ジョジョ」シリーズ。映画は日本を舞台にした第4部を原作とし、高校生・東方仗助(山崎)が、連続殺人鬼アンジェロ(山田孝之)や、暗躍する虹村兄弟(岡田将生&新田)らと対峙し、杜王町を守るため死闘を繰り広げる。

“実写映画化”に対してファンから不安や批判の声が寄せられることは、もはや宿命とさえ言える。ましてや唯一無二の作風がカルト的熱狂を巻き起こし、シリーズ累計発行部数1億部という大規模ヒットを記録する稀有な作品である「ジョジョ」ともなれば、ファンからの圧力は、それはもう半端ではなかっただろう。

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キャスト・スタッフにかかる重圧も、これまでにない苛烈なものだったと容易に想像できる。しかし山崎と新田は、批判にも真摯に耳を傾けながら、迫り来るプレッシャーを楽しんでいた。山崎が「プレッシャーがあるほうがワクワクするんです。『絶対にやってやろう』って。それも、これだけのプレッシャーを感じられるのは『ジョジョ』と巡り合えたからこそ。撮影が楽しみでした」と明かせば、新田も「立ち向かうしかないですから」と決意のほどをうかがわせる。作品のかたわらに立つのではなく、困難を恐れず立ち向かう意志が、2人には備わっていた。

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初共演となった互いの存在が刺激となり、原作への愛も相まって、2人は今まで以上の力を発揮できたようだ。特に、強力なスタンド“ザ・ハンド”を操る虹村億泰に扮した新田の役づくりには目を見張った。16年11月の東京・世田谷区の東宝スタジオでの撮影中、新田は億泰と自身の人格を切り離せないほど精神・肉体ともに没入していた。キャラの魅力を「とにかく兄貴(形兆)を愛しているんです。バカ正直で、本当に優しい男だと思う」と述べ、「(完結すれば)もう二度と億泰役はできないわけですよね。表現に答えはないから未知なのですが、とことん迷える作品・役なので、できるだけリアリティのある芝居をしたいと思っていました」と振り返る。

一方で山崎演じる仗助は、映画ではスタンド“クレイジー・ダイヤモンド”の治癒能力の意味を拡張し、街の守護者として壮絶な決意を固めていく姿を集中的に描き出した。「めちゃめちゃ強いのに優しく、信念を貫く仗助の姿勢が魅力です。高校生らしい遊び心も好きですね」と満足げに話す。

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またスペインで撮影を敢行するという異例の決断が話題を呼んだが、これが功を奏した。地中海気候に則したシッチェスやバルセロナの街並みは杜王町にふさわしく、その景観が実写だと違和感になりかねない奇妙な世界観やビジュアルに説得力をもたらした。山崎は「とにかく杜王町にぴったりで、行くこと自体に意味がありました。そこでのびのび出来たことで、『ジョジョ』の世界に入り込めていけたんです」と思いを馳せ、新田も「現場のミラクルに救われたことが多く、身の周りのものによって“億泰になれる”んです。日本で撮影していたら成立しなかったのでは、と思うくらい。その環境にずっといられることで、役づくりにも大きく影響しました」と同調する。

CGで創出されたスタンドの完成度、バトルエフェクトの迫力も白眉だ。スクリーン上でスタープラチナがアクア・ネックレスにオラオララッシュを叩き込み、クレイジー・ダイヤモンドとザ・ハンドは総合格闘技のようにクリンチを組む。さらにはバッド・カンパニーの戦闘ヘリが粉塵を巻き上げて飛翔し、仗助めがけてミサイルを発射するさまなど、山崎は「戦いで殺されるかもしれないから、死ぬ気で演じていました(笑)。すごく楽しかったし、本当に総合芸術ですよ。CGを含め、監督も衣装さんもメイクさんもすごい」、新田も「賢人くんとは“背中での殺し合い”でした。スタンドがこの世の中に現れたらきっとこんな感じ。生きたスタンドを見られて幸せでした」と少年のように目を輝かせた。

バトルシーンの動きを熱心に確認する 山崎&神木隆之介&三池崇史監督
バトルシーンの動きを熱心に確認する 山崎&神木隆之介&三池崇史監督

そして「死ぬ気で、全力で挑んだ」という今作を、2人はどんなジャンルにも該当しない “ジョジョというジャンル”だと熱弁する。新田は「試写を見て思ったことは『想像の遥か彼方上を行っている』。日本でこんなCGができるんだとビックリしましたし、ハリウッド顔負けの映画になっていると、大きな自信を持って言えます」と興奮気味に切り出し、山崎も「今までで一番試写が楽しみな作品でした。実際、完成を見てすげえ! と思って、スタンドが出てきたときはテンションが上がりました。見たことのない映像ばかりで、今作は『サスペンスエンタテインメント』とありますが、もう『ジョジョエンタテインメント』です」と自信をみなぎらせる。

ビジュアルのインパクト、スタンドバトルの興奮、貫かれる人間讃歌の感動……。今作から得られるこのカタルシスは紛れもなく「ジョジョ」の手触りであると、言葉でなく心で理解できるはずだ。承太郎の「やかましいッ!」、形兆の「誰だってそーする」や、ビンに囚われたアクア・ネックレスがブランデーに擬態するなど、漫画で印象的だった数多のセリフ・シーンもきっちり収められており、製作陣の原作愛もまざまざと感じられる。2人の心を動かしたシーンはどこだろうか。

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山崎「億泰とのシーンで、仗助が『何も死ぬこたあねー。そう思っただけだよ』と治すところ。億泰の『心の中に思ったことだけをする。1回だけだ!』というセリフもかっこいいんですよ」

新田「仗助の登場シーンもバリバリかっこいいよね。『おな~り~!』みたいな感じでさ。ぜひ劇場で、友だち連れて見ないとね。絶対に話したくなるから」

映画の形兆のセリフを借りれば、「出会いとは重力」。つまり必然だ。「ジョジョ」の引力で邂逅を果たした2人の旅路は“第二章”へと続いていくのだろう。原作では仗助と億泰は戦いを経て無二の親友となり、巨悪に立ち向かっていく。映画第2弾が実現した暁には、仗助&億泰、そして現実の山崎&新田の関係性がどう発展していくのか、期待が高まるばかりだ。

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