劇場公開日 2016年12月17日

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「不満ばかりの幸せ人生」幸せなひとりぼっち フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

不満ばかりの幸せ人生

2017年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

素晴らし作品だった、笑いあり、感動あり、そしてちょっと優しくなれる映画です。

初めのうちは主人公が頑固で偏屈な爺さんだ、位にしか思えなかったが物語が進むにつれて人となりがわかってくると一気に愛らしく思えてしまう。
隣に越してきた一家の図々しさもムカつくが、段々心地よくなってくるし、もう全てが上手く撮られていた気がする。

こんな頑固者いるいると思い、こんな人にはならないようにしようと心がけるが、誰もが将来そうならないか心配だと思う。
この作品では、人それぞれにドラマがあって今が有るし、嫌な人でもちゃんと理解してあげる事の大切さを再確認させてくれる。

妻に先立たれた主人公は後を追う決意をするのだが、何度も厄介ごとを解決したり世話を焼く(焼かされる)などしていくうちに、生きる希望が見えてくる。
厄介ごとを解決する度にその人物を深く知れるし、信頼関係を生まれてくる。敵だらけのはずがいつの間にか仲間だらけになる展開は思わず笑みが零れてしまった。
個人的にはゲイの若者と近所のデブを引き連れて地区の見回りをする場面に一番ほっこりしてしまった。

偏見を持ち見下してばかりでは何もわからない。
深く関わらなければ見えてこないその人の性格や個性、否定ばかりしているといつしか自分も嫌な奴になってしまう怖さを思い知らされた。

不器用ながらも純粋に幸せな生活を送る主人公と妻はまさに理想的で、自分もこんな出会いと結婚相手がいればな、なんて思ってしまった。

主人公を演じた俳優さんの表情や仕草もすごく良かった。
頑固老人、不器用な青年、どちらの役者さんも感情をあまり出さない主人公の不機嫌さと上機嫌を上手に表せない感じを熱演していたと思う。

全体が温かい雰囲気で心地の良い作品なのでどんな人にもおススメできる映画、鑑賞後は幸せな気分になれた。
優しさと勇気をもらえた気がする。
近所の嫌な人、職場の苦手な人などの見方が変わるかも知れません。

劇中セリフより

「本当に死ぬのが下手ね」

その時がくるまでは精一杯生きるように努力したいと思った。

フリント