劇場公開日 2016年9月22日

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「女優と音楽が美しい。悲しくて不思議な恋愛」ある天文学者の恋文 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0女優と音楽が美しい。悲しくて不思議な恋愛

2021年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

オルガ・キュリレンコの情感たっぷりの演技にひきつけられます。

見終わってみれば、なんとも奇妙な違和感が残りますが、受け付けない人には強い拒絶の感情が勝ってしまうかもしれません。

「サプライズ好き」なんて言い方をしますが、人にあげるプレゼントを選んでいるときに、もらった人がどんな反応をするか楽しみで、幸福な時間を過ごすことが出来ます。そんな気持ちが分かる人には、この教授がとった行動が理解できるのかも。

私には、違和感のほうが強かったかな。

それは、年老いた教授の最後のひと花の恋だったこと。こんなに情熱的に相手のことを思いやることが出来るのだろうかという疑問と、周囲の理解が得られない秘められた情事によってつながっている「不倫」をにおわせる展開だったこと。

必ずしも、すべての人が幸福になる必要はないと思いますが、この監督、よっぽどプライベートでゆがんだ恋愛を重ねているんでしょうか。そんなテーマが良く出てくる気がします。近親者に迷惑をかけること前提で、最愛の人にだけ残された時間と情熱を注ぎこむ。そんな生き方、とても理解できません。

それと、随所に出てくる、オカルトとも、SFとも言えるような、不思議な偶然。あえて、そう見えるように意図的にはさみ込んであるのですが、エイミーには、まるで彼が何かのメッセージを伝えようとしているかのように感じ取ってしまう演出には、「あざとさ」を感じました。たとえば「落ち葉」とか「何か言いたげな犬」「イーグル」などの演出です。

言ってしまえば、11人の違う次元の自分が存在するという仮説に、振り回される学生と、表向き死んだことになっている教授の、悲しいすれ違いを描いた美しい映画。すべてのピースがうまくかみ合ってはいるのですが、「老教授」「恋」この二つを組み合わせたら、こんな不義な関係しか出てこないのでしょうか。

この映画には余計なピースだったとしか思えません。「若い天才教授」「恋」の組み合わせだったら、全然違うテイストの映画だったのに。。。

そっちのほうが見たかったです。私はロマンチストなので。

2017.12.20

うそつきカモメ