「忘れてはならない大切なもの」リメンバー・ミー syu32さんの映画レビュー(感想・評価)
忘れてはならない大切なもの
レンタルDVDで鑑賞。
普段ディズニー映画は殆ど観ないのですが、会社の人から「これは泣けるから観て!」と強く勧められました。「そこまで仰るなら…」とちょっと興味が湧きました。
メキシコの日本で言うお盆に当たる“死者の日”には、ご先祖様が家族の元に帰って来ることができますが、その条件は祭壇に写真が飾ってあること。
写真も無く、人々の記憶から完全に忘れ去られてしまったとき、死者は“二度目の死”を迎えることになり、死者の国からも消え去ってしまいます―。
何ともシビアな設定だなと思いましたが、それがクライマックスの展開と感動へと繋がっていくので文句無し(笑)
私たちがこうして生きていられるのは、ご先祖様から繋がって来た命や想いの結晶なんだなと感じました。何と尊いことなのか、と…。私はつい先日、大好きだった祖母を亡くしたばかりだったので、余計心に沁みました。
両親から曽祖父や曽祖母の話を聞いたりする機会が小さい頃にありました。また私もいつか出来るであろう自分の子供に、祖母や祖父のことを話して聞かせようと思いました。そうすることで実際の記憶は伴わなくとも、心の中でその人生は生き続けてくれるのではないでしょうか?
家族が決して忘れない限り、その想いは永遠に繋がっていくのではないか…。そう教えられたような気がしました。離れていても忘れないで―。「リメンバー・ミー」の歌詞の内容を思い出すと今でも泣きそうになります…。
ミゲルの家庭で音楽が御法度となった背景には、ヘクターが去ったことにより音楽を避けるようになったイメルダを見たココが、母親の心情を子供なりに察して大好きな父親と音楽を嫌いになったという風に振舞ったからではないでしょうか?
それから連綿と「音楽はダメだ」という上辺だけが受け継がれ、本当の想いが置き去りになってしまったことで、誤解と擦れ違いが生まれたのではないかなと思いました。
ミゲルの歌う「リメンバー・ミー」を聴いたココが表情と記憶を取り戻し、ヘクターが二度目の死から救われ、家族の心までもが氷解していくラストに感動し、思わず泣いてしまいました。ええ話や…。
遥かな時を越えてヘクターの想いを受け取り、自身も本当の想いを家族に伝えられたことでココは安らかに逝くことができたのだなと思いました。
【余談】
1年後の死者の日にヘクター、イメルダ、ココが3人揃って花びらの橋を渡るときココはおばあさんの姿ですが、どんなに老いても親にとって子は子なんだなと、そんな細かいところでもホロリとしてしまいました。