劇場公開日 2016年10月8日

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「死にざわめく青春」少女(2016) 全竜(3代目)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0死にざわめく青春

2016年10月13日
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悲しい

難しい

in MOVIX清水

監督/ 三島有紀子

出演/本田翼●山本美月●稲垣吾郎●真剣佑●佐藤玲●児嶋一哉●菅原大吉●川上麻衣子●銀粉蝶●白川和子etc.

小説家志望の本田翼とかつて剣道の有望株だったが試合中の怪我で断念した山本美月。

高校でクラスメイトから村八分を喰らい悶々と過ごす二人は、何故か「人間が死ぬ瞬間を目撃すれば、人生観が変わるかもしれない」と狂った衝撃を抱えたまま迎える其々の夏休みを描いた作品。

同じ湊かなえ原作で、《人間の死にざわめく青春》ってぇっと、松たか子×中島哲也の『告白』が未だ強烈に記憶に深く刻まれている。

教え子の中の誰かに愛娘を惨殺された松たか子先生が容赦なく復讐を遂行する『告白』は犯人探しにサスペンス要素を絡めたエンターテイメント性に打ちのめされた噺だったのに対し今作は、己の興味本意の為に他人の最期に向き合おうとする自分勝手な主人公の葛藤は、当然の如く、後味が悪く、痛々しい。

特に本田が最終的に選んだ死の標的はボランティアで潜入した小児癌病棟で闘病する子供達やから、尚更、嫌悪感が積もった。

しかし、死と対峙する運命は、皮肉なカタチで見届ける事となる。

さっきまで笑顔で仲良くしていたのに、居なくなった途端に手のひらを返す裏表激しい二面性の世界観に、「女って恐いなぁ」と、女流社会の自分の職場と重ねては、気分が沈むばかり。。。

観ていて、辟易しながらも、最後まで付き合えたのは、湊かなえならではの過去と小道具を張り巡らし、凝らした伏線で、もがく人間関係の濃密さに尽きるだろう。

裏切りの裏切りは実は繋がりだった2人の奇妙な絆は、同性の監督の三島有紀子だからこそ、生々しいまでに表現できたのかもしれない。

そんな気紛れな女心は、ゲス野郎の私にゃあ、さっぱり解りゃあしないが、テーマの《因果応報》 の意味の深さを、相変わらず薄っぺらいアンジャッシュ・大島の演技を観て、つくづく感じた。

。。。って、児嶋だよ!!

・・・性懲りもなくスベったトコロで、最後に短歌を一首

『闇綴り 紅く引きずる 水中花 もがきに笑みを 眼下の懺悔』
by全竜

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全竜(3代目)