劇場公開日 2016年3月5日

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「「動物になるんだったらロブスターになりたい」 ぶっ飛んだ設定、世界...」ロブスター mintoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「動物になるんだったらロブスターになりたい」 ぶっ飛んだ設定、世界...

2017年9月17日
iPhoneアプリから投稿

「動物になるんだったらロブスターになりたい」
ぶっ飛んだ設定、世界観、均一で不気味な画面作り、キューブリックを彷彿とさせる作家性の強い作品だった。ヨルゴス・ランティモス監督の作品は「籠の中の乙女」に引き続き2作め。
独身であることが罪という設定はリアリティがあるし、ユニークで面白い。動物にされるというのも皮肉が効いている。ただこの世界観を理解するのに時間がかかる上、登場人物みんながこの世のものではないような不気味な雰囲気なので少し乗りづらい。コメディということもあり「いやいやそれはないでしょ」というツッコミはナンセンスだと釘を刺されているような感覚もあった。実際見ているとツッコミたくなるようなシーンはたくさんあるのだが「いや、そういう世界観だから」で一蹴できるようにされているような気がして少しむず痒い。
監督はきっと型にハマったことや、世間に蔓延る歪んだ恋愛観が嫌いなんだろう。そのドロドロしたエネルギーをもろに作品にしたって感じ。作家性の強さ故観る人は選ぶと思うが観て損することはない映画だった。ラスト海の音で終わるのが秀逸だった。あの映画における共通点から恋愛に発展するという価値観そのものをぶち壊して「そんなんバカバカしい」と海に向かう主人公が想像できる。それとも彼はロブスターになったのだろうか?

minto