劇場公開日 2016年7月30日

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「二つの魂が熱くドリフトする様に圧倒される」ケンとカズ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0二つの魂が熱くドリフトする様に圧倒される

2020年10月30日
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ふたつの魂の軌跡が渾身の筆圧で綴られた裏社会の友情ドラマだ。もともと短編作品からスタートしており、そこで育んだ物語の核となる魅力はそのまま受け継ぎつつも、いざ完成した長編版はまた新たに生まれ変わったような独自の人間描写、スケール感、語り口、表現性を獲得。作り手がいかに本作を大切にグレードアップさせたかその心意気や覚悟のほどが感じられる。性格や価値観が根本的に異なり、口を開くと言い争いばかりのケンとカズ。しかし車の修理工場を隠れ蓑にドラッグビジネスを拡大させる中で、各々の抱える人生の悩みが露呈し、徐々に人間ドラマとして側面が迫力を増すことに。ここで彼らの真の友情が試される過程の描き方が初長編とは思えいないほど熱く、見応えがある。また、車の運転席と助手席といった極めて狭い空間を使ってのアクションやカメラワークにも唸らされるばかり。この監督がこれから一体どのように化けていくのかが非常に楽しみだ。

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牛津厚信