劇場公開日 2016年10月14日

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永い言い訳のレビュー・感想・評価

全179件中、141~160件目を表示

5.0繊細

2016年10月20日
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繊細に語られるすれ違いと、繰り出される心打つ言葉に、突然感涙してしまいました。

モッくんが他のレビューのようなダメ人間には感じず、むしろ頑張ってるように感じました。

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アリンコ

2.0泣けない映画

2016年10月20日
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鑑賞方法:映画館

笑える

知的

難しい

主人公の対象者となる妻の描写があまりなく、現状だけのセリフで「愛していない。ひとかけらも」となるのか、設定が疑問。
西川さんの文面を読めばわかりますが、頭の中は「おっさん」そのもので女性らしいものはあまり感じられない。
テーマは愛、メッセージは人間関係において夫婦も友人にも完全なものはない。しかしはかなくも美しい。という事。
やはり小説としてはいいが、映画としては3つの「見たい」「わかる」は理解できるが最後の「感じる」つまり泣けるという要素はなかったことがマイナス。小説で終わっていたほうがいいと思いました。
ただし、女性受けはします。

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tomokuri0315

5.0モックンのダメダメぶりが見ものです

2016年10月20日
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鑑賞方法:映画館

子役の2人や竹原サンも良かったけれど、本木サンの自然体過ぎるダメ男演技に脱帽ですw
観ていて「うわぁ〜、イタイわぁ…」の連続。特に子供の誕生日会で、アレはあかんだろう?!
でも、コンナ人って周りに居るよね。
自分もその時は気づかなくても、後から振り返ってみると似たコトしちゃったコトあるよなぁと考えて、切なくなったり愛おしく思えたりもした。
夫婦で揃って鑑賞するのは、チョット勇気のいる作品かもしれません。

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ひらぞう

4.0トラック野郎父ちゃん最高!!!

2016年10月19日
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鑑賞方法:映画館

ディアドクターを、監督した西田美和作品。&モックン主演だったので、見に行きました。

子供苦手な衣笠幸夫が、見つけ出した生き甲斐は、子供とのつながりだった。

あの、素直で優秀な真平君と、天真爛漫な灯ちゃんだったから、頑張れた子育て。

そして、妻大好きな、トラック野郎の、お父さんだったから、幸夫に、違う、人生を、見せてくれたのかな?!

吃音役の、山田真歩を、加えての全ての役者が好演でした\(^o^)/

私は、全く泣けませんでしたが、友達は、自分の息子が、バスで塾に通ってた頃と重ねて(涙)
回りも、シクシク(*T^T)ずるずると、泣き声が、止まらない劇場でした。

私の気持ちは、トラック野郎が、亡くなった妻の留守電を、消した瞬間!!!
好きだった人の声は、なかなか、消せないものなのです。
次へ進む為には、次の人が必要なのですよ(ノ_・、)

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ふにー☆ママ

3.5色に例えたら中間色

2016年10月19日
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鑑賞方法:映画館

ストーリーは紹介文の通り。
一般論でいう最低な男の人を魅力的な人にみせた本木雅弘さん
の演技力と竹原さんの自然体な演技で成立した映画。
正直印象と言われると??だが、人を丁寧に扱い描いているところ
がよかった。こういう映画がまたみたいと思う。

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エキュート

3.0裸の自我(エゴ)を持つ男

2016年10月18日
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 主人公の幸夫くん、監督さんのキャラが、色濃く投影されているそうで。監督さん、自分の名前の後に、作中で使われた単語入力して、パソコン検索したこと、あるんですかね?。
 かつてティム・バートンは「ビートルジュース」で、陽のあたらない世界で、息を潜めていたサブカルっ子に、そのままでいいんだよと、照明あててくれたそうです。私、観てませんけど。
 で、本作、゚よう、そこの中二病~、俺の話を聞け~゙と、言われてスクリーンに脚を運ぶかは、分かりかねますね。とは言え、嗚呼、生きるって恥ずかしい。どうせ、恥多き人生なら、みんなに見せつけちゃう!的な話に、惹き付けられるのは、やはり私が自意識の井戸の底の住人なのでしょう。
 それでも生きていかざるを得ない訳で、私にとって、本作は、明日を乗り切る活力剤なのか、恥ずべき過去を映す鏡なのか?…って、そんなこと考えてるから、大人になれないんだよなぁ。
 以上、裸の自我を持つ男(と、その監督さん)に想い馳せる、私の永い言い訳でした。

 追記。竹原ピストル、再び少年の心を持つ、あばれる君でしたね。そろそろ第二形態に進んでは。…俺、昔、バカやってたんだ。今は、もっとバカだけど…。みたいな、ずっこけ感と、人に寄り添う強さと優しさを持つ、彼の歌のようなキャラを引き出せる監督さん、いませんかね?。

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機動戦士・チャングム

4.5男とはいつまでも甘えん坊なガキである

2016年10月18日
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泣ける

笑える

幸せ

売れっ子の流行作家・本木雅弘は、妻・深津絵里を旅行先のバス事故で突然失う。

当日の夜も妻の惨事を知らず、愛人を抱いており、急な別れに涙1つさえ流れない。

孤独に事実を受け止める虚しい日々の最中、同じバス事故で妻を失ったトラック運転手・竹原ピストと知り合い、ひょんな事から彼の幼い息子&娘の面倒を見る機会を設け、絆を深めていく物語。

本木雅弘はどこまでも上から目線でイヤミったらしいヤな奴なのに対し、竹原ピストルはどこまでも無骨で裏表が無いイイ奴だ。

仕事も環境も価値観も総て対照的な二人だが、唯一の共通点は、《愛する家族への想いは、いつまでも不器用》ってぇ事である。

周りの仕事仲間にも、亡くした妻にも、勿論、遺された子供達にも。。。

事故をキッカケに、居なくなった妻と向き合い、家族とは何かを問いながら、お互いの心に大きく空いた穴を埋めていく。

特に、本木雅弘は進学で悩む竹原の長男を見守るうちに、幼少時の自分と重ねている様に思え、親とも似た愛情が芽生え、歪んだ性根に温もりを戻していく過程が愛しい。

一方、生前の妻の留守電を涙ながらに聴き、ウジウジと感傷に浸る竹原ピストルの泣き顔にも同様の共感を覚える。

忘れたいけど忘れてはいけないジレンマが様々な葛藤を生み、擦れ違いを繰り返した末、ゆっくり強めた絆を、互いの涙と笑顔で認め合う。

妻としてだけでなく、母親として、失ったトラウマを1つ1つ克服した時、最も成長したのは、紛れもなく、子供よりも親の方・竹原ピストルと本木雅弘である。

あいにく、私は夫も父親も未だ未経験だが、「男ってぇ生き物は、いつまで経っても甘えん坊な子どものまま」なのは、切ないぐらい解ったような気がした。

では、最後に短歌を一首

『淡雪と 去りゆく君の 道のりは 筆の躊躇(ためら)い 愛しさを描く』
by全竜

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全竜(3代目)

4.0痛いとこを突いてくる…

2016年10月18日
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つららのような氷の刺が心臓に突き刺さる。自己と対峙する映画だった。

大切な人の突然の死。でもそれが自分にとって大切な人かなんて自分にだって分からない。自分がどれだけ思われていたのかさえも…
周りにどう見えてるかが一番で妻の死に向き合えない男と、対照的に悲しみにとらわれ抜け出せない男。
モックン(幸夫)も竹原ピストル(陽一)も凄く良い。子供たちもとても自然体で素晴らしい。

人生は他者、他人に対しては自分なりのご立派な自分になれる… 私の事だ…
私も母親を突然の死で亡くしている。幸夫も陽一も私だった。まるで陰と陽のよう。自分の凄く嫌なところ嫌な自分を見せられた感覚に落ちる。本当に嫌だ。抉られて痛くてツラい。
こんなにも自分と対峙しなきゃいけない映画なんて…

私にとっては次また観る勇気がでない映画。でも傑作!
氷はいつか溶けることを願いつつ…

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豆

3.0原作を読んだ方が良いかも

2016年10月18日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

上映前に原作を読みました。

原作は人物描写も含めて非常に良く書き込まれています。
なかなか心を揺さぶります。

期待して上映初日に拝見しましたが、映画の良さが伝わりにくかった。
何というか、文章と画像、それぞれの良さが出るべき部分があると思うのですが、この映画は文章に負けてしまった感じがしました。

本木さん、竹原ピストルさんの演技も素晴らしかった。子役の子供達、その他の方々も素晴らしかった、が原作を超えなかった。

これが真実のような気がしました。原作を読まなかったら良かったと反省しました。

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デカ黒

5.0もはや名人の域なのか⁈

2016年10月18日
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自分自身の様々なダメさ加減を見ているようで、いたたまれなくなる瞬間が多々あり。と同時に、不意に涙腺が決壊する瞬間も多々あり。
西川監督の名人芸に終始翻弄されっばなしでした。

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aoirotawashi

4.0ダメダメダメダメ男に愛の手を

2016年10月18日
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過去の西川監督作品はいずれも人間描写に唸らされてきました。
そして、物語の決着を観客に委ねる結末にも。
さて・・・

衣笠幸夫(本木雅弘)は、津村啓の筆名で文学賞を受賞し、いまではテレビのクイズ番組にも出演して、人気がある作家だ。
ただし、編集者からは、最近の作品は惰性だと揶揄されている。
そんな彼の妻・夏子(深津絵里)が、高校時代からの親友とのバス旅行の途中、バス事故で死んでしまう。
こともあろうか、幸夫が他の女性と不倫している最中に・・・

といったところから始まる物語は、その後、妻の親友の遺された夫・大宮陽一(竹原ピストル)一家と知り合って心が変転していく、といった展開になる。

幸夫と陽一は、何から何まで正反対。

幸夫は、インテリで世間に対して斜に構え、自己顕示欲が強く、僻み根性ばかり。
妻への愛には冷めているが、妻は自分を愛してくれるのが当然だと思っている。

陽一は無学で直情的で、突然妻を喪った哀しみを時折噴出させる。

映画はこのふたりを対比して描いていくが、常に幸夫の視線である。
そして、幸夫が何か言う度に、幸夫のダメ男ぶりが際立っていく。
それは、彼の関心が自分ばかりにあり、他者と向き合ってこなかったせいだ。

妻の突然の喪失でも、感情が揺さぶられないほどに・・・

いやぁ、ホントにダメダメダメダメ男なんだなぁ、これが。
ま、ちょっと身に覚えもあったりするので、観ている方としては、いたたまれないのだけれども。

そんなある日、亡き妻からの手ひどいしっぺ返しを食らう。
妻のスマホの、幸夫宛ての下書きメール。
「もう愛していない、ひとかけらも」

いやぁ、残酷だぁ、西川監督。

しかし、その後、西川監督は、このダメダメダメダメ男に優しい手を差し伸べる。
斜に構え、妻も含めて他人と向き合おうとしなかった幸夫に、「人生は、他者だ」と気づかせてあげるのだ。

ありゃりゃ、なんだか西川監督、優しくなったねぇ。
それとも、監督は、この手のダメダメ男が好きなのかしらん。

いつもながら深い人間描写に唸らされましたが、物語の結末を観客に委ねることはしなかった。
さて、今後の西川作品、どのように変化していくか、とても楽しみである。

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りゃんひさ

5.0オジサンには刺さるんですよ、こういうの。

2016年10月18日
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泣ける

悲しい

幸せ

さすが是枝組の監督だけに、人間を見る観察眼がすごい。
この監督は女性でありながら、男目線までも身に着けている。
そしてまるで自分の裸をさらすような演技をみせたモックンもすごい。
舞台挨拶で監督が言うには、人はかわりに恥をかいてくれる人を求めているらしい。だから、モックンがみっともない役を演じれば、それに好意的になるのだとか。たしかにそうだ。お笑い芸人だってそうだ。なんだバカなことやってるよ、っていいながら笑えるのは、そのバカな芸は俺にはできないが、それをみんなの前でできるお前はすごい、って思っているわけだ。
そして、これからも恥の十字架を背負って丘を上って欲しい、と独特の言い回しでエールを送っていた。

今の自分に丸被りのようなストーリーは言わずもがな、配役の妙、練りに練られていながらごく自然なセリフの数々、モックンの感情に合わせた容貌の変遷、そしてフィルムならではの柔らかい画面や引きのショット(山道を走るバスとかあれだけで泣けた)、、、。
熟成させた作品であることが伝わってくるだけで、心地よく打ちのめされながら鑑賞していた。何度も何度も、ヒャックリのように泣きながら。

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栗太郎

3.0少しくどい。

2016年10月17日
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永い言い訳に長い時間付き合わされてる感じ。
良作と言えるでしょうが感動したとか見終わった後の良い余韻を期待しても無理かも?

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たか

4.5気付いてしまった...

2016年10月17日
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泣ける

笑える

わたしにとって愛とは一体なんだろう
なんだったのだろう

彼の見つけた答えに、わたしはまだたどり着けていない

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ふーみん

4.5西川美和監督作最高傑作

2016年10月17日
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タイトル通り、日本が誇る西川美和監督の最高傑作だと感じた。
序盤のいやーな男女の夫婦関係、突然襲われる嫁の死にも、それを受け入れようとしない主人公。
宮本ピストル演じる故人となった妻の友人の旦那、宮本陽一と家族に、最初は不純な動機で接近していくが、彼自身が持っていなかった「家族」というものに触れ合い、誰からも愛されていなかった男の心が氷解していく。

だが、それでも妻の死と向き合おうとしない男の行く末に待っている陽一の事故…彼がとった行動は?

ゆれる・夢売るふたりでは、最後に突きつけられ、考えさせられたが、今回は割とはっきりとした終わり方。それもまた好みだ。

子役の演出力もズバ抜けており、素晴らしい。なにより素晴らしいのは、やはりモッくんの演技というか、存在感。顔は男前だが、情けない、どうしようもない男っぷりが愛おしく、たまらない。観た後に絶対誰かと語りたくなる映画。
西川美和監督はまだ40代前半、ここにきて一段とレベルが上がってきた印象。師匠である是枝監督と切磋琢磨しながら、日本映画界を盛り立てていってほしい。

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ぴろしき

4.0久々にやるじゃん❗️

2016年10月17日
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そう,誰かも言っていたが、今や現代の進んだ技術CGとかは凄いかもしれないが… まさに此れが,映画作品という本来の姿?の在り方?言い方が違ったら失礼(¬_¬) だと思ったし…【人間だけ】で創ったものである❗️と言いたい所。 〜一寸,話が逸れているかな?

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サクちゃん

4.0繋がることの大切さを教えられた。

2016年10月17日
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泣ける

悲しい

幸せ

西川美和監督の最新作『永い言い訳』
を鑑賞しました。
身近な人の死、本気で泣けない人程
悲しみは深いが、理解されない。
その悲しみから開放してくれる存在
が必ずいる、人と繋がることの大切
さがある。
もっくんが秀逸、子供二人が癒し

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kazkinkh

4.0汚い内面との対峙

2016年10月16日
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不完全な家族を意識し始めた私にとっては胸をえぐられる映画だった。
やりきれなさが漂う。

世の中に完全な、幸せな、綺麗な、美しい夫婦が、家族がどこまでいるのだろう。
そういう監督の中の問いを二時間のあいだずっと問いかけられたような。

主人公の最低さはモッくんが秀逸に表現していて、こんな奴いたら嫌だと思いながら、私にもそういう部分があると共感させられる。
主人公が劇的に変わるわけでもないし、すべての気持ちが消化されるわけではないけど、やるせなさの中でも、人間の愛への期待と、人と繋がることへの希望を感じる映画だった。

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ヒロコ

3.0勿体ない映画。

2016年10月16日
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単純

 前半までは期待を持たせる出来でしたが、竹原ピストルの家で鍋をつつきながら、本木雅弘が一人芝居をするあたりから、おかしくなっていきます。原作者である西川美和が伏線の回収に必死になるあまり、細部にまで気が回らなかったようです。役者にセリフで心理状況をいちいち説明させていては映画の質が下がろうというものです。映画なのだから、是非とも映像で語って欲しかったのですが・・・。愛人役の黒木華、途中で消えてしまいましたが、なんとも、中途半端な印象を持ちました。せっかく、登場させた人物には最後まで責任をもって扱って欲しいものです。
 力量のある監督なので、今回の中途半端な出来上がりには、個人的には大いなる不満があります。見切り発車はよくありません。徹底的に考え抜いて欲しかったですね。今回の作品ではこの監督の持てる力の半分も出していない。私にはそう思えます。なかなか充実した俳優陣を揃えていただけに残念な思いは更に強まります。監督本人も今回の作品の出来栄えには決して満足していないと思うのですが・・・。

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bashiba

3.5私小説のような作品

2016年10月15日
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知的

クミコというシャンソン歌手が歌う「わが麗しき恋物語」という、覚和歌子さん作詞のシャンソンがある。恋をして、結婚して、数年たったら互いに浮気をして、相手に興味がなくなってしまった。しかしその後、夫が病気で亡くなり、葬式の時に、自分でも驚くくらい大声で泣きじゃくったという歌だ。

竹内まりやの「天使のため息」という歌がある。映画やドラマになった「秘密」という物語の主題歌でもある。この歌に次の一節がある。「人はなぜ皆 失って初めて気づくの 見えない糸で結ばれた愛の重さに」

どちらも女性の作詞の歌で、恋の行方についての歌詞だ。
この映画の監督も女性で、やはり愛のありようを手探りする物語だ。女性にとって「永遠の愛」は古来から変わることのないテーマのようである。

ふたつの歌が女性の観点から書かれた歌詞であるのに対して、この映画の主人公は男性だ。妻を亡くした夫。そこにこの映画の価値がある。
男性の場合は「永遠の愛」がテーマではない。熱が冷めないうちは失った女のことを嘆き悲しむが、熱が冷めてしまったら、女が死んでも何も感じない。妻を亡くしたふたりの夫の正反対の感情は、そのためだ。

本木雅弘の演技はさすがだ。夫の複雑な心理状態を複雑なまま表現している。小説家としてテレビに出たりしていて、有名人としての社会的な地位があり、虚栄心があり世間体がある。そういう心理を、妻への思いやりよりも優先した途端に、愛が終わる。あるいは愛が終わったから世間体や虚栄心を優先するようになったのかもしれない。
亡くなった妻のスマホに残された下書きメールの「もう愛していない」という言葉は、夫に対する自分の思いなのか、自分に対する夫の態度のことなのか、永遠に謎のままだ。しかし主人公は自分にあてた妻の言葉だと思い込んでいるようだ。男には身勝手なプライドがあり、自分は妻が死んでこれっぽっちも泣けなかったのに、妻からこれっぽっちも愛してないといわれると腹を立てるのだ。

物語としての起伏はほとんどない。事故で妻を亡くした夫が、一時的に生活が荒れてしまったがその後他人とのかかわりの中で生活を立て直していくだけで、ほぼ私小説みたいな内容だ。妻や愛人が魅力的に描かれていないのは、主人公にとって彼女たちが性欲の対象、或いは世間体のための舞台装置でしかなかったからだろうか。深津絵里や黒木華という演技派の女優にとって、気の毒な設定だ。
子役たちの芝居は見事だった。西川美和監督は子供を作ることも作らないことも否定していないが、子供とのかかわりが主人公の精神的な危機を救ったように描いている。その意味ではヒューマンな映画だと言えるだろう。
総じて音楽の使い方がとてもよく、特に手嶌葵の挿入歌が抜群に優れていた。

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耶馬英彦