劇場公開日 2019年1月18日

「邦画には敵わないインド映画のスケール感・スピード感に圧倒されました!」バジュランギおじさんと、小さな迷子 ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0邦画には敵わないインド映画のスケール感・スピード感に圧倒されました!

2019年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

生まれた時から声を出せない障碍があり、願掛け先のインドで母親とはぐれて独りぼっちになってしまったパキスタン少女シャヒーダーを、正直者のインド人青年パワンが旅券も査証も持たずに印パ国境を越えて送り届ける話。パワン青年は信心がとても深いナイスガイですが、馬鹿が付く位の正直者で嘘を付けない。それが邪魔をしてこの殆ど無謀とも言える旅は決してスムーズには進まない。しかし、反対に間一髪の危機にあっては、その正直さが身を救っってくれたりして、紆余曲折を経ながらストーリーが展開していくところがこの作品の醍醐味でしょう。しかし本作の底流には、宗教の違いで袂を分かって以来、現在まで綿々と続く印パ両国間の因縁の根深い対立についての強い問題意識があるのは疑いようのない処かと。しかし扱い方を一つ間違えるとそれこそ炎上しかねないタブーのようなこの事象を、意表を突く構想と壮大なスケールでさらりとエンタテイメントに仕立ててみせるインド映画の底力は本当に凄いと思いました(実話を下敷きにした作品であればもっと良かったのに、などと言う無い物ねだりのようなことは言うまい...) 最後にシャヒーダ役の女の子ですが、役柄ゆえセリフは全くないのですが、その仕草が何とも愛らしく、この作品に天使のようなアクセントを加えてくれていたように思いました。

ホワイトベア