劇場公開日 2016年11月12日

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「戦時中も嫁は戦う」この世界の片隅に everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0戦時中も嫁は戦う

2019年8月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

かつて時代劇では描かれなかった人々が近年主役格になるように、戦争を、家で父や夫の帰りを待つ主婦目線で描いている点は新鮮に感じました。食卓に並ぶおかずの減り方、頻繁な空襲警報に寝不足になる辺りの生活感はリアルでした。「警報、もう飽きた〜」なんて経験者の方しか思い付かない言葉な気がします。

戦争で分断される絆もあれば、結ばれる絆もある。

最後母親を想って慕ってきた子供のくだりが一番グッと来ました。長生きできるか不安です。

すずは共感覚の持ち主でしょうか。「ぼーっとしている」すずすら目覚める現実の過酷さ。嫁ぎ先で居場所に悩む繊細さはあったみたいですが、彼女の「ぼーっとしている」レベルは、現代なら何かしらの診断名が付きそうです(^_^;)。異常な世界で「普通」でいることの大切さ…。それは、取り巻く環境や刺激に鈍ければ良いということではなく、また趣味への関心を持ち続けることでもなく、人間として基本的善悪の価値観を揺るがずに維持できるかどうかではないでしょうか。つまり、戦時中特有の価値観に流されて判断・行動する人を、憲兵以外にも登場させないと対比できません。
男女の色恋も意外?とあるので、小さなお子様に観せるには後の質疑応答に困りそうな気もします。膝枕ってアリですか?すずは隙があり過ぎるのでしょうか?

「何でも使うて暮らし続けるのが、うちらの戦いですけぇ。」

everglaze