劇場公開日 2016年6月4日

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探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海 : インタビュー

2016年5月23日更新
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玉木宏、原作者お墨付きの天才探偵役は新たな“はまり役”「上質なミステリーを楽しんで」

人気ミステリー作家の島田荘司氏による「天才探偵・御手洗潔シリーズ」が、「探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海」として初めて映画化された。謎をこよなく愛する天才脳科学者・御手洗潔を演じるのは、NHK連続テレビ小説「あさが来た」の白岡新次郎役でさらなる人気を獲得している玉木宏。累計550万部超、35年もの歴史を誇るシリーズの主人公に、どう向き合ったのか。映画.comが話を聞いた。(取材・文/編集部、写真/堀弥生)

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玉木が御手洗を演じるのは、2015年3月にフジテレビ系列で放送されたテレビドラマ「天才探偵ミタライ 難解事件ファイル『傘を折る女』」に続いて2度目。映画化の企画自体はドラマの制作前から動いており、NHK大河ドラマ「篤姫」での玉木の演技を見た島田氏のたっての希望でオファーが実現したという。玉木に出会うまで島田氏は長年にわたって映像化を拒み続けてきたというから、まさに“原作者お墨付き”だといえる。

劇中でも、超然とした雰囲気をかもし、常人を寄せ付けぬ知識量と推理力で事件をたちどころに解決する名探偵になりきっているが、役作りのヒントは意外なところにあったという。「島田先生と初めてお会いしたときに、先生のたたずまいが、自分が原作を読んでイメージしていた御手洗像にピッタリだったんです。だから勝手に参考にさせていただいて役を作っていきました」。

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御手洗を「異質な人」と語る玉木はさらに「話すときに目が若干泳いだり、身振り手振りがあったり、それは考えながら話している証拠だと思うんです。御手洗は、会話の中で瞬時に返す言葉すべてを用意して、すらすらと述べることができる人。演じるにあたっては、一瞬の迷いを消したり、手の表情を使わないようにしようと(決めました)。そういう制約を増やすことで御手洗らしさが生まれるんじゃないか」と演技プランを明かした。同時に「注意して演じなければ、すごく薄っぺらい者になるのでは?」という危機感を常に持つことで、「異物感」と「人間らしさ」を併せ持つキャラクターを絶妙なバランスで成立させている。

良質なミステリーには、魅力的なキャラクターだけでなく、見るものをひきつける事件が必要不可欠だ。島田氏の故郷でもある広島県福山市を舞台にした本作では、半年の間に6体もの死体が流れ着く島「死体島」、アパートで外国人女性が謎の死を遂げた「外国人女性変死体事件」、口と目を縫い合わされた夫婦が滝つぼに拘束され、夫婦の赤子が殺害される「居比家誘拐殺人事件」といった3つの難事件が描かれる。さらに、織田信長の鉄甲船や、瀬戸内海を拠点としていた村上水軍も関わる歴史ミステリーの要素も絡むなど、スケール感あふれる展開が用意されている。すべての事件を御手洗が1本の線で結んでいくクライマックスでは、探偵ものならではの快感を感じることができる。

「謎解きものはやっぱり日本でも海外でも好きな方が多いと思います。(映画には)福山市の魅力もたくさん詰まっていますし、プラスして日本の歴史にも絡む伏線がある。それを御手洗という人間に翻ろうされながら、ゴール地点がどこなのかしっかり見届けていただければと思います。上質なミステリーを劇場の大きなスクリーンで(楽しんでください)」。

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本作を通して新たな“はまり役”と出合った玉木だが「今は経験値を積む時間」と謙虚な姿勢を崩さない。「経験が自分を形成するものになると思う。先輩方と話をしていても、皆さん見えていないところ(知らないところ)で、そんなジャンルのこともたくさんやられてきたのかと目の当たりにすることが多くて。何か頼られたときに経験値を基に話す方が説得力もあるし、そういう先輩でありたいなと思いますね。食わず嫌いにならないように努力しようという心構えです」とさらなる高みを見据えた。

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