劇場公開日 2015年5月27日

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「石井節炸裂で、ヤバイヤバイ!」ソレダケ that's it 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0石井節炸裂で、ヤバイヤバイ!

2015年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

単純

興奮

石井聰亙監督の
カルトなシネマ
「狂い咲サンダーロード」に「爆裂都市 BURST CITY」、
芸大出身の鬼才が撮ったロックな映画に、
ガキの頃の僕は打ちのめされたもんだ。
石井岳龍に改名してから
少し落ち着いちゃったなぁと思ってたら、
原点回避と話題の今作。

ポスターも、エネルギッシュで荒荒しい。
加えて旬な染谷将太くんと綾野剛くん起用で、
期待せずにはいられないよ。

映画はしょっぱなから、
デカダンスな底辺生活にもがき苦しむ主人公が疾走。
そしてイスが揺れる程の爆音ロックンロールに、
手持ちの疾走感に、色抜きされたフィルム。
しょっぱなから石井ワールド全開で、ヤバいヤバい。

石井監督の
ロックンロールシネマは、
いつも魂の叫びと
怒濤のフラストレーション満ちていた。
そのエネルギーを、
町田町蔵(町田康)さんや山田辰夫さんや
小林克也さんなどの怪優たちが呼応してきたんだ。

今作はといえば、
染谷将太くんが心揺さぶる演技で
見事に応えている。
自分のなかで沸々と煮えたぎっているマグマを、
ぶちまけているかのようだ。

元E-girlsの水野絵梨奈さんも、身体を張って凄みがあった。
渋川清彦さんや村上淳さんの脇役陣も、
危ないオーラに溢れていて、さすがの存在感。
綾野剛くんも世界観を構築してて、上手かった。

ストーリーもまさしく「ソレダケ」だし、
ツジツマはメチャクチャだし、
途中から暴走は加速して止まらない。

不快なフィードバックギターの爆音の中、
躍動するカメラに揺れまくるスクリーンで、
気分が悪くなる人もいるだろう。
俳優が好きなだけの人は、後悔するかもしれない。
観る人を選ぶ映画だ。

けど未知の世界観や
俳優の底力を感じたいなら、
観る価値は大いにある。
特に若い人は、ぜひ体験するべきだ。
くだらないオトナになっちまう前に、
石井ワールドにぜひ触れて欲しい。

僕はといえば、
放心状態でしばらく席から立ち上がれなかった。
さんきゅ石井監督。
まだまだ、ハジられそうな気がしたよ(笑)

年間100本を劇場で観るシネオ