劇場公開日 2015年6月6日

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「一度は見ておくべき」おかあさんの木 May0uさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0一度は見ておくべき

2015年6月15日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

鈴木京香の演技に圧巻。
7人子供を次々と戦地へ送り出す母親の心情が痛いくらいに伝わってくる。
特に二郎を送り出す列車でのシーンは、相反する、日本国民として「送り出さなければならない」表情と、母親としての「送りだしたくない」心情がなんとも胸をえぐられる。

子供は戦地で戦うために生まれてくるわけではないし、もし自分があの時代の母親だったら、こんなことになるなら生まなければよかったと思うだほう。
その方が苦しみも悲しみも少なくて済むのだから。
人数ではないかもしれないけれど、7人皆が戦争に捕られるなんてあまりにも酷い。
被害にあった場所、向かった戦地だけが戦場だったわけじゃないのよね。
おかあさんが子供を送り出しその帰りを待った家も、あの木を植えた場所も、あの時代を生きた人々の心そのものが戦地と化していたんでしょう。

40年前から教科書で採用されているだけあって、観客の年齢層は比較高めでした。
観客は少なくはあったものの、終始すすり泣く声が。
原作は短編ということもあり、それを色付けしていくのはなかなかのものだったのではないかとも思います。

わざわざ映画館で観る必要はない、と思う方もきっといるでしょう、大きい画面に迫力あるサウンド..などを考えたらそうかもしれませんが、この映画は大きい画面で、心静かに考える時間をくれる映画だと思います。
そう考えると、何かを汲み取ろうと能動的に見なければ何の意味も為さないただの映画になってしまうかもしれませんね。

May0u