劇場公開日 2016年7月29日

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「好きな人は好きなアート映画」シン・ゴジラ あすさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0好きな人は好きなアート映画

2023年11月15日
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鑑賞方法:VOD

笑える

単純

寝られる

他ではオブラートに包みましたが、これはこの作品のレビューなので率直に。

エンタメ映画ではないものの、アート映画としてもエヴァ好きへのサービスは多いしソフトビニール人形のようなゴジラにはゴジラ愛を込めたのだろうというのは理解はできるが特に魅力的ではなく劇伴も映像も何度も観たくなるようなアートではなかった。

また、石原さとみさんは好きな女優ではあるが、アメリカ人のような迫力と魅力が必要な役はさすがに無謀すぎた。日本のお笑い芸人がアメリカ人のコントをオーバーにやって笑いを取る、まるでそういう役になっていた。
とはいえ、他の役者も長台詞を頑張って詰め込んで何故か短い尺(政治の局面でああなった演出だろうがその必要性は全くない)で全て吐き出さなくてはいけないので演技という演技も特にない。まあ、映画というか早口言葉の動画だね。

そんな石原さとみさんらを含め、あえてコミカルな映画を目指していたのかもしれないが、楽しい笑いにも皮肉な笑いにもならない、失笑を誘う状態なのである。
その理由は、作戦名を子どもっぽくないように変えたなどという裏話があるものの、結局はどう頑張ってもダサさが抜けきっていないためである。これはまあ個人の感性であろうが、中学二年生がよく罹患する病で「難しい覚えたての単語を繋げて難解な文章を作ってみて大真面目な顔で友達に披露してみる」というものがあるが、その空気感がずっと作り物めいた会議室に充満していて恥ずかしい。エヴァではアニメの現実離れした絵面が緩和というか恥ずかしくない段階に引き上げてくれるのだが、この現実路線な映画では致命的だった。一部なら流せるが映画そのものが「いかにカッコいいワードをそれらしくキメるか選手権」なので、この選手権が嫌いな客はお断り映画である。

ストーリーはそもそも無いので可も不可もない。
ここでもう少し現在の政治や民衆への訴えや震災のメタファーなどを描けていれば星2のつもりだったけれど、そういったものも感じなかった。そういう皮を被せているのはわかるものの、肝心の訴えるべき、問いかけるべき中身は無いのである。だからこそ、優秀なファンが考察という形であらゆるメッセージを“生み出してくれた”という有意義さはあろうか。

ゴジラはソフトビニール人形の玩具をCGで動かしたような感じで、とくに怖さはない。ゴジラが襲うことで感情や動悸が変わることも特にない。自分がゴジラの人形で遊んでみるのとこの映画のゴジラ襲来シーンを観ることは大差ないだろう。
そこが可愛らしいと人気があるのはよく理解できる。唯一、映画を観て良かった点である。

ソフトビニール人形のようなゴジラが面白かったので星1にしておく。
庵野監督は嫌いではないが、エヴァとエヴァのファンに頼りきるのは卒業してほしい。といっても、もう年齢を考えたらそれで武勇伝を語ったり好きに擦るのでもう良いのかな。

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あす