劇場公開日 2015年2月28日

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幕が上がる : インタビュー

2015年3月2日更新
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女優としての大きなステップを駆け上がった、ももいろクローバーZ

高校演劇に情熱を傾ける、まさに「女優」の姿がスクリーンにはじけていた。劇作家・平田オリザ氏の処女小説が原作の映画「幕が上がる」にそろって主演した「ももいろクローバーZ」の5人だ。将来への漠然とした不安、友人関係の悩みなど、女子高生が抱えるさまざまな葛藤(かっとう)を、それぞれの個性を生かしながら体現した。アイドルとして進化を続ける5人は、またひとつ大きなステップを駆け上がったようだ。(取材・文/鈴木元)

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メンバーは撮影前、多忙なスケジュールの合間を縫って平田氏のワークショップに参加。その中では役を何度もシャッフルしたそうだが、結果として半ば押し付けられる形で演劇部の部長になるさおりにリーダーの百田夏菜子、ヒロイン然としたユッコに玉井詩織、お調子者のがるるに高城れに、どこか影のある転校生・中西に有安杏果、1学年下だがしっかり者の明美に佐々木彩夏と、適材適所のキャスティングとなった。

百田「私は皆をまとめたり、劇中劇をつくり上げていく役なので、ワークショップの時からオリザさんがどういうところで注意をするんだろうというところを見ていました。本番でだんだん気になることが出てきて、徐々にメンバーじゃない演劇部の子たちにも気づいたことを言えるようになれたのがすごくうれしかったです」
 玉井「撮影を進めていく中で(役を)つくっていったので、手応えがあったかどうかは分からないですけれど、完成した作品でちゃんと自分の役として生きられたんだって思うとすごくうれしかったです」
 高城「やっていくうちにがるるをどんどん好きになっていくのが自分でも分かったし、ムロ(ツヨシ)さんがすごく自由に演じていて、本広(克行)監督も『いいね』っていっぱい言っていたから、自由にやっていいんだって思いました」
 佐々木「自分の中で役の性格や台本に書いていないところまで何となく定まってきたことがすごく楽しかったし、自信になりました」
 有安「最初は、こうかなあみたいに監督に相談していたことが、いつの間にか自分でこうしたいという部分が出てきた時に、いけるんじゃないかって感じました」

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弱小演劇部が、かつて学生演劇の女王といわれた美術教師との出会いによって全国を目指し奮闘する“直球”の青春群像劇。5人はそれぞれ撮影を重ねていく中で役との共通項を見いだし、キャラクターを確立していった。中でも、中西が名門校から転校してきた際、がるるが騒ぐシーンは高城にとって印象深く、他のメンバーも大はしゃぎだ。

高城「ヤバい、ヤバいって言いながら廊下を駆けるんですけれど、出川(哲朗)さんがあるドラマでやっていたシーンと全く同じだったんですよ」
 百田「あれ、(出川の)持ちネタだから。なんか向こうがマネしたって感じじゃん」
 玉井「あっちが本家だから、あなたが取ったんだよ」
 高城「自覚しているんですよ。私がマネしたっていうのは。いや、マネしたわけじゃなくて、出川さんとすごい運命を感じちゃって、ご本人に会ったらぜひ言いたいなって」
 百田「でも、高城がそれを言ってから、あのシーンは私たちにとって出川さんのシーンになっちゃって」
 有安「出川さんもいい迷惑だよね」
 佐々木「もうちょっと(声を)寄せれば良かったのに」

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そう言い合ってコロコロと笑い転げる。チームワークの良さを感じさせるが、では百田の部長としてのリーダーシップはどうだったのだろうか?

百田「いいこと言ってね」
 佐々木「えーと、すごく部長らしくて、格好良くて頼れる(笑)」
 玉井「最初は(劇中劇の芝居を)止められないって言っていたのに、本番に入るとバンバン止めるんですよ。だんだん部長っぽくなってきて、ちょっと悔しかった」
 高城「普段はプールに落っこちちゃうくらいボケボケしているのに、なんだかんだ言って部員全員のことを見て最後はまとめてくれるのが部長らしい。ももクロとしてもかぶるなって思いました」

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有安「演劇のシーンを袖から見守っている時の表情が、部長だなって思いました。私たち(メンバー)以外の子たちも、夏菜子を部長として見ている感じがすごかった」
 玉井「だいぶ褒めたよね」
 有安「インタビューだからしようがない。世に出るものだからさ」
 玉井「自分たちの好感度を考えて言っているから」
 百田「サイテーだよ(全員爆笑)。でも、部長に誇りを持ちました」

どうしてもノリツッコミのようなやり取りになってしまうようだが、撮影を通じてさらに結束が強まった様子。当然、本広監督の演出力もあるが、演劇部が徐々に団結していく過程がありありと見て取れ、それは個々の感性の豊かさ、吸収力の速さによるものだろう。アイドルと女優の意識の違いはないと全員が口をそろえつつ、映画での経験値が大きな収穫だったようだ。

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有安「けっこう前からSMAPさんや嵐さんみたいになりたいっていう私たちのひとつの目標があるんですけれど、そう思うと1人ずつドラマや映画にも出ていらっしゃるので、その一歩目の踏み台というか、きっかけになっていくのかな」
 百田「有安さんは、私たちを踏み台に…」
 有安「しないよ」(全員また爆笑)

映画は2月28日に公開され、さらに平田氏原作・脚本、本広監督演出による同タイトルの舞台が5月1~24日(東京・Zeppブルーシアター六本木)に控える。

百田「舞台はオリザさんがすごくハードルを上げているという噂を耳にしましたが、オリザさんと本広さんは最強タッグだと思うので、しっかりとしがみついていけるように頑張りたい。映画に関しては、どの世代の方が見てもキラキラした青春を感じられると思います」

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締めのコメントの予定だったが、メンバーにあおられて高城が追い打ちのひと言。

「皆が知っているももいろクローバーZじゃないっていうのを見せたいし、もっとももいろクローバーZに興味を持ってもらいたいし、ダブルで応援してもらいたいので1人最低2回は見てください」
 玉井「ほら、大事じゃん。今のひと言」
 有安「良かったね。言っておいて」

トークも進化し続けるアイドル・ももクロの女優としての幕は上がったばかりだ。

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